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コスモポリタンを使った種の壁の操作実験(平成 23年度)
Manipulating cosmopolitan species with endosymbionts revealing mechanisms of speciation

予算区分
CD 文科-科研費 162583
研究課題コード
1113CD017
開始/終了年度
2011~2013年
キーワード(日本語)
種分化,細胞内共生細菌,コスモポリタン種
キーワード(英語)
speciation, endosymbiont, cosmopolitan species

研究概要

本研究は本来種分化しないはずのコスモポリタンの中に潜む外来性の種分化機構(細胞内共生細菌ボルバキア)を利用し、種の壁を実験的に操作することを目的とする。生物多様性の創出機構である種分化研究は、種の壁がどのようにしてできるかを明らかにする重要な研究である。古くから種分化を促進する要因として地理的隔離が挙げられてきたが、世界各地に広くする分布するコスモポリタン種の害虫は、異所的な環境にあっても種分化しにくい。近年では、遺伝的、生態的な要因が種分化を急速に促進することが指摘されている。急速な進化が起こり得ることを示す最も直接的な研究は、室内実験系で種の壁を操作することである。本研究では、本来種分化しないコスモポリタン種において、室内実験により種の壁の操作を試みることで、遺伝的、生態的な要因で起こる急速な種分化現象を再構築する。これにより、生態的な種の壁が遺伝子に焼き付けられていくことを明らかにすることで、種分化の直接的なメカニズムの解明へとつなげる。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:

全体計画

本研究では、世界中に分布するコスモポリタン種の害虫であるヨツモンマメゾウムシ(Callosobruchus maculatus)およびその近縁種であるアカイロマメゾウムシ(C. analis)、ローデシアマメゾウムシ(C. rhodesianus)、アズキゾウムシ(C. chinensis)を用いて種の壁の操作実験を行う。ヨツモンマメゾウムシとアズキゾウムシは世界中に広く分布しているのに対し、アカイロマメゾウムシとローデシアマメゾウムシの分布は局所的である。これまでの知見から、アカイロマメゾウムシとアズキゾウムシには、宿主に生殖隔離を引き起こす細胞内共生細菌ボルバキアが感染していることが分かっている。すなわち、ボルバキアは、種の壁の外来要因と考えることができる。本実験ではまず、アカイロマメゾウムシに見られる複数系統のボルバキアに注目した累代飼育を行い、アカイロマメゾウムシに種の壁を構築する。次に、アカイロマメゾウムシとアズキゾウムシのボルバキアを除去することで、それぞれの近縁種であるヨツモンマメゾウムシとローデシアマメゾウムシとの種の壁を崩壊させる。

今年度の研究概要

アカイロマメゾウムシの地域系統別の交配実験を行い、孵化率や性比、生存率などを調べることで、交配隔離の程度やパターンを明らかにする。また、ボルバキア感染の有無と、感染ボルバキア系統をDNAから調べ、交配隔離の程度やパターンとの関連を調べる。

外部との連携

筑波大学

関連する研究課題
  • 0 : 生物・生態系環境研究分野における研究課題

課題代表者

今藤 夏子

  • 生物多様性領域
    環境ゲノム研究推進室
  • 室長(研究)
  • 博士(学術)
  • 生物学
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