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サンゴ礁形成史の新仮説:New Caledonia産サンゴ礁掘削コア試料を用いたKey speciesの解明(平成 23年度)
Reconstruction of coral reef formation from quantitative analysis regarding key species of fossil corals from the drilling core of New Caledonia

予算区分
KZ その他公募
研究課題コード
1111KZ001
開始/終了年度
2011~2011年
キーワード(日本語)
サンゴ,サンゴ礁,掘削コア
キーワード(英語)
coral, coral reef, drilling core

研究概要

 サンゴ礁は堆積岩の1/5以上を占める炭酸塩岩の主要な構成物であるとともに,温暖な環境にて形成するため,熱帯から亜熱帯を指示する示相化石として知られている.このような特徴から,古くから地質学や古生物学において研究対象となっていたが,そもそも,何がサンゴ礁の形成に最も寄与しているのか不明であった.最近,Johnson et al. (2008)はカリブ海の露頭試料(過去2800年間)を解析したところ,サンゴ礁特有の特徴である高い種多様性(造礁サンゴ類・藻類・二枚貝類・巻貝類・有孔虫類などが生息)はサンゴ礁の形成には関係が無かったことを示した.しかしながら,いまだ何が重要であるのか疑問が残っていた.そこで,課題担当者は,過去数年間にわたり,サンゴ礁掘削コア試料や露頭調査から,サンゴ礁形成に必要な条件を明らかにするために研究を進めてきた(Hongo and Kayanne 2009; 2010a,b; 本郷2010b).その結果,サンゴ礁には「Key species」と呼ばれるサンゴ礁形成に特別に寄与する,わずかの種類の造礁サンゴが存在することを初めて明らかにした.また,これらのサンゴは共通の生態学的戦略(高い成長速度・融合による群体成長・波浪に対する抵抗性)をもっていたことも合わせて提唱した(Hongo and Kayanne 2011).この仮説を一般化するために南太平洋のデータが必要不可欠である.
 本研究の目的は,仮説『サンゴの種数は礁形成には無関係であり,礁形成にはKey speciesが必要である』を検証・一般化し,礁形成に関する基本かつ重要なルールを発見することが目的である.本研究では,南太平洋のNew Caledonia産のサンゴ礁掘削コア試料(計6サイト)を用いて,最終氷期以降に生息していた化石サンゴの種数・種構成を明らかにしKey speciesを決定する.解析と同時に,掘削地点における潜水調査を実施し,産出したKey speciesの生態的戦略を明らかにする.さらに,過去の海面変動などの海洋環境データと比較し,Key speciesの生態的戦略の獲得メカニズムを明らかにする.

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:応用科学研究

全体計画

本研究では以下の3つの計画を実施する.

計画1.New Caledonia産サンゴ礁掘削コアの解析
計6サイト(Poum, Poindimié, Thio, Mamié-Ounia, Ricaudy, Tara)を対象とする.
この計画はNew CaledoniaにあるIRD(Institute of Development Research)において実施する.


計画2.潜水調査(Key speciesの生態戦略の決定)
 掘削コアサイトにおいて潜水調査(水深20m以浅)を実施し,Key speciesの分布調査を行う.


計画3.仮説の検証・基本ルールの構築
 上述した1,2から明らかになる知見をまとめて,仮説の検証・基本ルールの構築を行う.

今年度の研究概要

2011年5月〜12月にかけて,文献および既存データをまとめる.

2011年12月〜2012年1月にかけて,ニューカレドニアのIRDにて,
上述した計画1.New Caledonia産サンゴ礁掘削コアの解析,および
計画2.潜水調査(Key speciesの生態戦略の決定)を実施する.

2011年2月〜3月にかけて,計画3.仮説の検証・基本ルールの構築を行い,
本研究を達成させる.

外部との連携

連携先:Institute of Development Research,France

備考

外部資金:平成23年度「深田地質助成」

関連する研究課題
  • 0 : 生物・生態系環境研究分野における研究課題

課題代表者

本郷 宙軌