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底質酸化による閉鎖性浅海域の生物生息環境の改善(平成 22年度)
Habitat improvement in enclosed coastal sea using by some techniques for sediment oxidation

予算区分
BC 環境-公害一括
研究課題コード
1012BC002
開始/終了年度
2010~2012年
キーワード(日本語)
干潟
キーワード(英語)
tidal flat

研究概要

 水質総量規制により陸域からの汚濁負荷を削減し続けているにもかかわらず、停滞傾向を示す閉鎖性浅海域の環境改善には、干潟や藻場の生態系サービスである水質浄化機能の改善が不可欠と考える。しかし当該生態系サービスを生み出す生態系機能の担い手である付着藻、海草や海藻の藻場、底生動物群集には底質環境の悪化や貧酸素水塊の発生により、突然の消滅など群集の不安定化が報告されている。こういった現象を回避するため、これまでに国立環境研究所と地方公共団体環境研究所との共同研究において扱ってきた様々な底質酸化手法、および効果的な藻場の形成技術を組み合わせることで、本課題における生物集団の生息環境改善を目指す。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:行政支援調査・研究

全体計画

 兵庫県環境研究センターと山口県環境保健センターは、それぞれ瀬戸内海に面した浅海域に、還元的底泥および酸化的底泥を有する人工干潟および天然干潟の長期モニタリングサイトを確立しており、過去のデータの蓄積に加え、現地調査をスムーズに実行する体制を備えている。国立環境研究所は過去の研究実績から、干潟や藻場における生態系機能の評価手法を確立し、さらに干潟および藻場の生態系機能の特徴に適した底質酸化技術に関する研究でも成果もあげており、現場調査における適切な調査項目や調査方法についての指導およびその実施をおこなう。あわせて実験室レベルでの検証実験を遂行し、実験現場に適した手法の調整を行う。

今年度の研究概要

 室内チャンバー実験としては、蛍光式センサを用いた多連計測システムを確立する。それらを用いて、底質酸化の手法である、耕耘、マイクロバブル、酸素供給膜、硝酸塩添加、浮上海底、を実験室でのチャンバー試験レベルにて効果を検討する。
 富栄養海水の供給と還元的底泥を備える兵庫県尼崎人工干潟と山口県椹野川河口天然干潟を貧栄養海水の供給と酸化的底泥を備えるモデル地域として選定し、物理、化学、生物の各生態系機能項目、現地の優占生物について年数回の事前調査を行い季節変動、空間変動を把握する。底質酸化の各手法に対する現場実施用装置の作成を行う。

関連する研究課題
  • 0 : その他の研究活動

課題代表者

矢部 徹

  • 生物多様性領域
    生態系機能評価研究室
  • 主任研究員
  • 博士(理学)
  • 生物学
portrait

担当者

  • 石井 裕一