- 予算区分
- CD 文科-科研費
- 研究課題コード
- 0911CD016
- 開始/終了年度
- 2009~2011年
- キーワード(日本語)
- 感受性,免疫,化学物質
- キーワード(英語)
- sennseitivity, immunity, chemical
研究概要
これまでの研究で開発した動物モデルの有用性について、これまでとは異なる化学物質の曝露による高次機能における炎症反応の誘導を比較することで、過敏症の解明にとっての有用性を検証し、新たなバイオマーカーを探索することを目的としている。
研究の性格
- 主たるもの:応用科学研究
- 従たるもの:基礎科学研究
全体計画
本研究は2課題より構成し、A)免疫系における炎症反応の解析:21年度は、免疫系における農薬に対する特異的免疫機能の解析はリンパ球を中心として行う。農薬曝露後に化学物質をハプテンとして認識するIgG、IgEなどのクラスにおける特異抗体産生の有無をELISA法で、リンパ節や脾臓におけるCD4,CD8 Tリンパ球亜集団の変動をFACSで解析する。次に、アレルギー性炎症反応を卵白アルブミン(OVA)感作により誘導し、そのモデルマウスに化学物質を曝露して肺、脾臓、局所リンパ節での炎症性細胞の集積やTh1/Th2関連サイトカインと転写因子の産生など炎症反応の増悪について検索する。22年度以降は、神経−免疫軸への影響を検索するため、曝露動物での嗅球や海馬における炎症性サイトカイン・ケモカインの産生についてリアルタイム-PCR法、プロテインアレイやELISA法で測定し、神経伝達物質の動きとの相違について解析する。
B)脳・神経系における炎症反応の解析:21年度は、農薬の投与による曝露を行い神経性炎症性反応を嗅球と海馬を中心に検索する。炎症性変化としてサブスタンスPや神経栄養因子(NGF,BDNF)の産生、およびNGFやBDNFの受容体であるTrk A とTrk Bの発現についてリアルタイム-PCR法とELISA法で測定する。22年度以降は、モリス水迷路による学習行動への影響検索、海馬における記憶機能をグルタミン酸作動性興奮性ニューロン受容体の変動、および核内での転写因子CREBの動きについてリアルタイム-PCR法を用いて検索し、神経伝達物質レベルの変動はHPLCで測定する。
今年度の研究概要
初年度は、これまでの揮発性有機化合物の研究で高い感受性を示した雄C3H/HeNマウスを用い、ダイアジノンの腹腔内投与の実験を行う。免疫系炎症反応の解析グループでは、肺組織、脾臓、血清中の炎症性細胞の集積や炎症性サイトカイン産生について、検索する。他方、神経由来の伝達物質は免疫系の組織でも産生がみられることから、肺や脾臓におけるNGF、BDNF、Trk A とTrk Bの発現、およびサブスタンスP産生についてもリアルタイム PCRとELISA法で検討する。神経系炎症反応の解析グループでは、ダイアジノン曝露終了後、嗅球と海馬のmRNAとタンパクレベルでの解析によりマウスの感受性について比較検索する。また、学習行動を調べるためのモリス水迷路試験の予備実験を行う。