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内分泌撹乱環境化学物質の骨代謝への影響と毒性メカニズム(平成 19年度)
A molecular mechanism of toxic effect of dioxin on bone remodeling in rodents

予算区分
AF 奨励
研究課題コード
0707AF441
開始/終了年度
2007~2007年
キーワード(日本語)
ダイオキシン,骨代謝,ビタミンD代謝
キーワード(英語)
Dioxin, Bone remodeling, Vitamin D metabolism

研究概要

動物実験でダイオキシンが骨の発育や骨形成阻害をもたらすことが実証されている。一方、環境化学物質が骨粗しょう症のリスクファクターであるとの疫学的報告もあり近年注目されてきている。我々はダイオキシンがビタミンD代謝に関与するCYP遺伝子の発現を撹乱する証左を既に持っている。本研究の目的はビタミンD代謝およびCa輸送系の撹乱がダイオキシンの骨毒性発現のメカニズムであると考え、分子レベルならびに骨の形態計測的観点の両面からその毒性を実証し、その毒性発現機構を明らかにすることである。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:技術開発・評価

全体計画

ダイオキシンの骨毒性がビタミンDとCa代謝撹乱に起因することを骨の形態・病態を解析することより実証すると共にその発現機構メカニズムを明らにする。実験方法は、授乳期ダイオキシン曝露マウスを作成し、ダイオキシン曝露マウスの腎臓におけるカルシウム再吸収機能に関与する遺伝子の解析、蛋白合成の撹乱を解析する(免疫組織学的方法も併用する)。さらに、血清、尿中のCa、Pなど無機成分の分析を行いダイオキシンと骨毒性との関連性を解析する。次に、骨の形態・計測分析。同8週齢マウスの大腿骨、脛骨を採取して骨形態計測および骨病態を調べる。大腿骨の凍結切片を作成して、破骨細胞と骨芽細胞を組織化学的に調べ骨吸収、骨形成のリモデリングへの毒性発現を解析する。TCDDをリガンドとする核内受容体のAhR遺伝子を欠損するマウス(AhR-/-)を用いて同様な実験を行いTCDDの骨毒性作用がAhR依存性かどうかを調べる。

今年度の研究概要

活性型ビタミンDの代謝に関与するある種のCytochrome P450酵素遺伝子発現が生育段階の腎臓でダイオキシンにより誘導されるというこれまでの知見を発展・深化させ、ダイオキシンの骨毒性がビタミンDとCa代謝撹乱に起因することを骨の形態・計測的観点を新たに絡ませることにより実証すると共にその発現機構の全貌を明らにする。

課題代表者

西村 典子