海洋起源ハロカーボン類のフラックスと生成過程（平成 19年度）
A study on the production and emission of marine-derived volatile halocarbons

研究概要

海洋から大気中には多くのハロカーボン類が放出されており、成層圏オゾン破壊や海洋境界層内の対流圏オゾン破壊・エーロゾル生成などに関与している。本研究では、大気・海水中ハロカーボン分圧の広域観測を行うための技術開発を行って地球規模・地域規模のハロカーボンフラックスに関する知見を得ると共に、海洋におけるハロカーボン生成過程を明らかにしてハロカーボン発生量に対する海水温や栄養塩等の環境要因の影響を明らかにすることを目指す。

研究の性格

• 主たるもの：応用科学研究
• 従たるもの：モニタリング・研究基盤整備

全体計画

大気中自然起源ハロカーボン類のグローバル観測と発生地域の解析を行う。また、大気・海水中ハロカーボン類の高頻度測定システムの開発を進めて、特定海域におけるハロカーボンフラックスの高頻度観測を実現する。共同研究者による海水中におけるハロカーボン生成過程に関する研究結果と合わせて、海洋からのハロカーボン放出量と環境要因との相関を調べる。観測されたフラックスを基に、海洋起源ハロカーボン類のグローバル発生量を推定する。

今年度の研究概要

淡青丸ＫＴ07-7次航海に利用して日本近海における海洋大気中揮発性有機化合物(VOC：ヨウ化メチル、ブロモホルム、臭化メチル、DMS等)濃度を現場測定する。透過膜を利用した環境水中のVOC分圧測定手法を確立し、臨海実験施設において大気-海洋間のVOCフラックスの連続測定を行ない、沿岸域におけるVOCフラックスの変動パターンを解析する。また、貨物船あるいは客船による外洋航海を利用して、キャニスターで大気試料を集め、大気中の海洋起源VOCの分布を詳細に調べる。沖縄県波照間島と北海道落石岬においてVOCの連続測定を実施して、海洋起源VOC濃度の詳細な時間変動を明らかにする。

備考

本研究は、特定領域研究「海洋表層・大気下層間の物質循環リンケージ」の研究計画第二班として静岡県立大学・環境科学研究所・橋本伸哉教授、富山県立大学・工学部伊藤伸哉 教授と共同で実施するものである。
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