- 予算区分
- BY 環境-委託請負
- 研究課題コード
- 0510BY947
- 開始/終了年度
- 2005~2010年
- キーワード(日本語)
- タンチョウ,ミトコンドリアDNA,ハプロタイプ
- キーワード(英語)
- JAPANESE CRANE, MITOCHONDRIA DNA, HAPLOTYPE
研究概要
釧路湿原に生息するタンチョウ個体群は遺伝的に2つのタイプのもので構成されているに過ぎないことが分かっている。この遺伝的多様性の変異と新しい遺伝子タイプを持つ個体の検索のために、釧路湿原生息個体及び過去に生息していた個体(凍結保存個体や剥製等)でミトコンドリアDNAのD- loop領域のハプロタイプ解析を行うことで、今後の個体群繁殖計画の基礎知見とする。
研究の性格
- 主たるもの:行政支援調査・研究
- 従たるもの:基礎科学研究
全体計画
タンチョウ(Grus japonensis)は北海道東部に分布する国内希少種である。タンチョウの野生下における個体数は1950年代には約30羽まで減少したが、その後個体数が増加し800羽程度まで回復している。このように個体数が極端に減少した場合、ミトコンドリアDNAの多様性が減少することが知られている。北海道内のタンチョウのD-loop領域についても2つのハプロタイプ、Gj1およびGj2、のみが報告されている(Hasegawa et al. 1999)。しかし、他のハプロタイプが存在する可能性もあるため、今年度は標識装着時に得られた血液を使用してシークエンシングによるハプロタイプの判別を実施する。また、外観のみではタンチョウの性判別は困難であるため標識を装着した個体の性判別も同時に行う。
今年度の研究概要
現時点で北海道に生息するタンチョウのD-loop領域のハプロタイプ解析ではGj1及びGj2タイプの2つのものが確認されているに過ぎず、かなりの個体数を用いた解析結果であることを考慮すると今後も同様の解析研究を行っても新しいハプロタイプを見いだす可能性が低いことから研究アプローチを再考する必要がある。そこで、現状のハプロタイプと過去に北海道に生息していた個体のハプロタイプを比較検討するために道内に保存されている剥製標本等から得られる試料を基に過去のハプロタイプを解析、入手可能な海外のタンチョウ個体の解析結果とも比較して遺伝的多様性の有無を検討すると共に、海外個体の導入が将来的に望ましいかどうかの基盤知見とする。
- 関連する研究課題
- : 環境保全に有用な環境微生物の探索、収集及び保存、試験用生物等の開発及び飼育・栽培のための基本業務体制の整備、並びに絶滅の危機に瀕する野生生物種の細胞・遺伝子保存
課題代表者
桑名 貴
担当者
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今里 栄男
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大沼 学生物多様性領域