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衛星利用による二酸化炭素等の観測と全球炭素収支分布の推定(平成 18年度)
Greenhouse gas observation from space and use of the observations to estimate global carbon flux distribution

予算区分
AA
研究課題コード
0610AA102
開始/終了年度
2006~2010年
キーワード(日本語)
温室効果ガス,衛星観測,シミュレーション,インバースモデル,吸収・排出量
キーワード(英語)
GREENHOUSE GASES, SATELLITE OBSERVATION, SIMULATION, INVERSE MODEL, SINK/SOURCE AMOUNTS

研究概要

 温室効果ガス観測技術衛星(GOSAT)プロジェクトは、環境省・国立環境研究所(NIES)・宇宙航空研究開発機構(JAXA)の三者共同プロジェクトである。京都議定書の第一約束期間(2008年〜2012年)に、衛星で太陽光の地表面反射光を分光測定してSN比300以上を達成し(JAXA目標)、二酸化炭素とメタンのカラム濃度を雲・エアロゾルのない条件下で1%の精度で観測する。これら全球の観測結果と地上での直接観測データを用いることにより、インバースモデル解析に基づく全球の炭素収支分布の算出誤差を地上データのみを用いた場合と比較して半減すること(NIES目標)を目標にしている。本研究ではこの目標達成に向けて、種々な観測条件下において取得されたデータに対して、雲・エアロゾル・地表面高度などの誤差要因を補正し、高精度で二酸化炭素・メタンのカラム濃度を導出することを目的に、衛星観測データの定常処理アルゴリズムを開発する。衛星打ち上げ前には、数値シミュレーションに基づいてデータ処理アルゴリズムを開発し、航空機や地上で取得する擬似データや直接観測データによりアルゴリズムの精度を評価し改良する。また、衛星打ち上げ後は、データ処理の結果を直接測定・遠隔計測データにより検証し、データ処理アルゴリズムの更なる改良を行う。また、この衛星観測データと地上での各種の直接測定データとを利用して、全球の炭素収支推定分布の時空間分解能と推定精度を向上することを目的にインバースモデルを開発し、データ解析を行う。

研究の性格

  • 主たるもの:モニタリング・研究基盤整備
  • 従たるもの:技術開発・評価

全体計画

 温室効果ガスの観測を目的として日本が打ち上げを予定している温室効果ガス観測技術衛星(GOSAT)の取得データから、二酸化炭素・メタン等のカラム濃度の全球分布を高精度に導出する。そのため、データ処理手法の開発・改良とデータ質の評価・検証を行う。さらに、衛星観測データと地上で取得される測定データとを併せてインバースモデルに適用し、地域別炭素フラックスの推定誤差の低減と時間・空間分解能の向上を図るとともに、炭素収支の全球分布を求める。具体的には、
(1)短波長赤外波長域での測定に関して、様々な大気条件下での取得データに対応可能なデータ処理手法を確立するとともに、データ質の評価・検証を行う。衛星打ち上げ(2008年度予定)の前は、計算機シミュレーションと地上・航空機観測により手法開発を行い、衛星打ち上げ後は、実際の観測データの解析と検証により手法の改良を行う。
(2)インバースモデルの時間・空間分解能を月別・全球64分割等に向上したうえで、衛星データ等を利用してより高精度の全球炭素収支分布を推定する。衛星打ち上げ前は、モデル計算のためのデータベース等の整備を行い、打ち上げ後は衛星データを利用した手法の出力を吟味することにより研究を進める。
(3)上記の研究の総合的な成果として、全球を対象にして炭素収支の地域間の差や季節変動等を明らかにする。

今年度の研究概要

(1)短波長赤外波長域での測定に関して、巻雲やエアロゾルの存在する大気条件下での取得データに対応可能なデータ処理手法を研究開発し、数値シミュレーションにより精度評価を行う。
(2)衛星搭載センサと類似仕様の地上モデルセンサを用いて、飛翔体または高所からの太陽の地表面反射光を測定する実験を実施し、取得されたデータから二酸化炭素のカラム濃度を導出する。同時に観測時の大気パラメータを直接測定などによって取得し、地上モデルデータからの解析結果と比較して解析精度の検討を行う。
(3)インバースモデルの時間・空間分解能を月別・全球64分割等に向上するため、フォワード計算手法の開発と必要な関連データベースの整備を行う。更に、このフォワードモデルデータと衛星データを利用して全球の炭素収支分布を推定するインバースモデル解析手法のプロトタイプをシミュレーションレベルで確立する。

備考

本課題は研究課題コード0406BA414及び0507BH855にも関連。なお,課題コード0610AL917と合わせて,国環研GOSATプロジェクトを構成する。

課題代表者

横田 達也

担当者

  • Shamil Maksyutov
  • portrait
    松永 恒雄地球システム領域
  • portrait
    小熊 宏之生物多様性領域
  • 森野 勇地球システム領域
  • 日暮 明子地球システム領域
  • 青木 忠生
  • 江口 菜穂
  • 太田 芳文
  • 吉田 幸生地球システム領域
  • Sergey Oshchepkov
  • Andrey Bril
  • Anna Peregon
  • Carouge Claire
  • 中塚 由美子
  • 田中 智章
  • 齊藤 龍
  • 古山 祐治
  • Vinu K. Valsala
  • Nikolay Kadygrov