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鳥類の免疫能が配偶者選択に及ぼす影響の研究(平成 16年度)
The immunocompetence and its effect on mate choice in birds

予算区分
CD 文科-科研費
研究課題コード
0406CD473
開始/終了年度
2004~2006年
キーワード(日本語)
配偶戦略,雄の免疫能,雌の選択,繁殖成功度,オオヨシキリ
キーワード(英語)
MATING STRATEGY,IMMUNOCOMPETENCE,FEMALE CHOICE,REPRODUCTIVE SUCCESS,GREAT REED WARBLER

研究概要

一夫多妻制の配偶システムを持つ種では、高い性選択圧にさらされているため、雄の誘性的な形質と免疫能を同時に発達させる必要がある。免疫能とアンドロゲン濃度には拮抗作用がみられるため、質的に劣る雄は免疫能を保ったまま、誘引形質を維持するのが困難となるため、免疫能は暴露型ハンディキャップとなると考えられている。オオヨシキリを材料として、生化学的手法を用いて父性を明らかにし、雌の交尾相手選択を明らかにすると同時に、PHAに対する反応により免疫能を測定し、雄の免疫能が雌の交尾相手選択に与える影響を解析する。雄の免疫能が実際に雌の配偶者選択に影響を与えているかどうかを明らかにし、免疫能ハンディキャップ仮説が成立しているかどうかを明らかにすることを目的にしている。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:

全体計画

本研究では、オオヨシキリを材料として、マイクロサテライトDNAを使った生化学的手法を用いて父性を明らかにし、雌の交尾相手選択を明らかにする。同時に、フィトヘマグルチニン(PHA)にたいする反応により免疫能を測定し、雄の免疫能が雌の交尾相手選択に与える影響を解析する。PHAはマメ科植物から抽出された糖タンパクで、赤血球を凝集し,T細胞,B細胞の分裂を促進する作用がある。PHAの反応は、皮下注入後、6〜12時間で測定できるため、夕方に捕獲した個体にPHAを注射し、翌朝、放鳥前に注射した場所(上腕部)の腫れ具合を計ることで個体の免疫能の違い計測できる。免疫能の時間的な変動や、生活史戦略に与える影響を見るために複数年の研究が必要となる。

今年度の研究概要

1.霞ヶ浦湖岸のヨシ原に調査地を設置し、色足輪による標識個体群を設立する。個体識別のための標識と同時に、遺伝解析および寄生虫解析のための血液を捕獲時に採取する。また、夕方に捕獲した個体に細胞分裂誘起物質PHAを注射し、飼育小屋で8時間放置して血液凝集反応から免疫能を測定する。2.免疫能を測定した個体は、調査地にもどして各個体の配偶相手を確認し、配偶者の防衛行動を直接観察する。3.調査地で定期的に個体のテリトリマッピングを行い、繁殖の進行状況をモニタリングし巣の発見に務める。4.巣を発見すると親鳥の訪巣回数をビデオで記録し、各親のヒナへの貢献度を明らかにする。5.研究所に持ち帰った血液サンプルからDNAを抽出し、マイクロサテライト部位をPCR増幅装置で増やし父性や寄生虫感染率を明らかにする。

課題代表者

永田 尚志