- 予算区分
- AF 奨励
- 研究課題コード
- 0405AF507
- 開始/終了年度
- 2004~2005年
- キーワード(日本語)
- リポフスチン,年齢形質,甲殻類
- キーワード(英語)
- LIPOFUSCIN,AGEING CHARACTER,CRUSTACEAN
研究概要
これまで甲殻類においては有効な年齢形質は無いとされ、体長を指標として年齢推定が実施されてきた。しかし、成長の個体差が大きいため、体長から正確な年齢を推定することは困難である。本研究は、加齢とともに一定の速度で脳内に蓄積される特性を持つ蛍光性色素リポフスチンを年齢形質として、自然下における甲殻類個体群の年齢推定を高い精度で行う方法を確立することを目的とする。
研究の性格
- 主たるもの:基礎科学研究
- 従たるもの:技術開発・評価
全体計画
1)
リポフスチンを年齢形質とした甲殻類の野外個体群の年齢構造推定
東京湾産シャコを研究対象生物として、リポフスチンが野外個体群の年齢推定を実施するための年齢形質として妥当であるか検証する。・東京湾において試験操業を2004年9月から2005年9月まで3ヶ月に一回の頻度で実施し、
シャコを採集する。・体長計測後に脳を摘出し、パラフィン切片を作成する。・1個体につき5枚の切片について、共焦点レーザー顕微鏡により蛍光画像を撮影する。・画像解析ソフトを用いてリポフスチン密度を計測する。・リポフスチン密度ヒストグラムを作成し、複合正規分布分解を行い、各モードの平均および分散を
求める。各モードを年齢群と仮定し、リポフスチン蓄積速度が一定であるかどうかを調べ、リポフ
スチンが年齢形質として妥当であるかを判断する。2)
飼育下におけるリポフスチン蓄積速度の測定
2004年に野外にて採集された当歳のシャコを用いて、リポフスチンの蓄積速度、蓄積密度の個体差の程度を経時的に調査し、リポフスチンの年齢形質としての利用可能性を検証する。・1)の調査により当歳個体を採集し、一定水温にて飼育する。・一定期間ごとに、サブサンプルをとり、リポフスチン密度を計測する。・1年間飼育を継続し、リポフスチン蓄積速度、蓄積密度の個体差を調査し、野外個体群の年齢形
質としてリポフスチンが利用可能であるかを検証する。
今年度の研究概要
2004年9月に採集した東京湾産シャコのサンプルについてリポフスチン解析を実施した。158個体についてリポフスチン密度を測定し、リポフスチン密度ヒストグラムを作成した。ヒストグラムからは、視覚的に明瞭で、ほぼ等間隔の4つの正規分布が検出された。各正規分布はそれぞれ年齢群に相当する可能性が高いが、この点についてはさらに調査を進めて検証する必要がある。
課題代表者
児玉 圭太
- 環境リスク・健康領域
生態系影響評価研究室 - 主幹研究員
- 博士(農学)
- 水産学,生物学