ユーザー別ナビ |
  • 一般の方
  • 研究関係者の方
  • 環境問題に関心のある方

政策1. 循環型社会形成推進・廃棄物管理に関する調査・研究
政策1.(3) 資源循環・廃棄物管理システムに対応した総合リスク制御手法の開発に関する研究(平成 16年度)
1. Studies on material cycles and waste management
(3) Integrated risk control of material cycles and waste management

研究課題コード
0105PR013
開始/終了年度
2001~2005年
キーワード(日本語)
循環資源, 廃棄物, リスク制御, 残留性化学物質, ダイオキシン類, 分解, 液体クロマトグラフィ質量分析
キーワード(英語)
RECYCLING MATERIALS, WASTE, RISK CONTROL, PERSISTENT CHEMICALS, DIOXINS, DESTRUCTION TECHNOLOGIES, LC/MS

研究概要

循環資源や廃棄物に含有される有害化学物質によるリスクを総合的に管理する手法として、バイオアッセイ手法を用いた包括的検出手法、臭素化ダイオキシン類を的確に把握できる検出手法とその制御手法、不揮発性物質を系統的に把握する検出手法、有機塩素系化合物を含有する廃棄物等の分解手法を開発することにより、資源再生利用や中間処理、最終処分における安全性を確保し、再生利用量の拡大に資することを目的とする。

全体計画

酵素免疫測定系アッセイ及びAhレセプター結合細胞系アッセイの導入と前処理系を含めた試験システムの開発に着手する。臭素化ダイオキシン類とBFRsの分析手法開発に着手し、廃製品や廃棄過程において含有される有機臭素化合物の基礎調査を行う。LC/MSを埋立浸出水や廃プラスチック溶出水に適用するための前処理系を開発する。ダイオキシン類を含有する廃棄物の物理化学分解等に関する基礎実験を開始する(13年度)。
バイオアッセイ前処理系の検討を進めつつ、焼却飛灰や廃PCBに対してバイオアッセイ適用を図る。廃棄過程における有機臭素化合物の挙動調査を行い、難燃製品の寿命曲線による廃棄予測から環境進入量を試算する。LC/MSにより廃製品溶出水等に含まれる不揮発性物質の抽出と分画を行い、系統的分析に必要な単位分析操作の開発に着手する。物理化学分解として、加圧下の熱水抽出分解や電解還元による脱塩素化分解、高温菌による生物分解の基礎実験を進展させ、廃PCB化学処理の分解機構解明に向けた研究を進める(14年度)。
ダイオキシン類縁化合物検出アッセイについては、廃棄物から汚染土壌、底質の段階的分画情報を獲得する。各種の有機臭素化合物の溶解度や分配係数の測定を行い、またバイオアッセイ評価を行う。LC/MSでの高感度検出技術と検出物質の同定手法開発を進める。各種方法による有害廃棄物を分解処理する方法の開発として、熱水抽出法をダイオキシン類に適用し、光分解をPCNに拡張する(15年度)。
試料マトリックスに応じたバイオアッセイの前処理系を、簡易分析法を念頭において開発する。臭素化ダイオキシン類やBFRsの分析方法と、バイオアッセイ評価を統合し、包括指標化を検討する。LC/MS検出系の改良と解析システムの高度化をはかり、廃棄物等に対するLC/MS分析手法としての最適化システムを提示する。物理、化学的分解技術を実用化するための改良を行いつつ、複数の廃PCB処理に対する分解機構をモデル化する(16年度)。
Ahレセプター結合細胞系アッセイを用いたダイオキシン等量における未知成分を同定し、循環資源や廃棄物管理に適したバイオアッセイ手法を提示する。資源再生過程と焼却・埋立過程からのBFR排出係数を包括的に把握し、ライフサイクル的視点からみた有機臭素化合物の制御方策を提案する。循環資源・廃棄物に対するLC/MS分析の高感度化を図りつつ、これらの管理に適した系統的分析システムを提示する。有機塩素化合物含有廃棄物の実用的な分解方法を提示し、その分解機構解明について一定の知見を得る(17年度)。

今年度の研究概要

(1) 逆相HPLC(RP-HPLC)やゲルろ過クロマトグラフィー(GPC)等を用いた化学分画手法を導入して、循環資源、廃棄物試料の複合試料中の活性物質の同定、活性寄与率評価を進める一方で、POPs代謝物(biotic metabolites)の毒性評価まで踏み込んだin vitroアッセイ評価系の構築を試みる。バイオアッセイバッテリーについては、現在のプロトタイプのスコアリングについて検討を加え、具体的な運用システムを提示するとともに処理対策などの評価事例をふまえ、早期警戒システム運用マニュアルを作成する。
(2) 有機臭素化合物の化学分析の最適化・高度化を図りつつ、バイオアッセイも用いた挙動評価を行う。圧縮・破砕過程における排出と排ガス処理プロセスにおける臭素化合物の低減についてのフィールド研究、多成分系の物性推算が可能なUNIFACモデルへの適用、浸出メカニズムや処理特性、埋立物、処分類型に応じた排出係数推定、燃焼試験に基づく非制御燃焼過程や高度分解処理過程からのBFRsの排出係数把握を行う。物質フローモデル/環境動態モデルは、未知の発生源からの進入を盛り込み、近年の環境測定値からの検証を行いつつ、リサイクルシナリオモデルの検討を進める。
(3) 前年度に引き続き、難揮発性化学物質の抽出・分画法の改良、LC/MSによる同定手法の開発、新イオン化法の高感度化を行う。また、従来LC/MSで感度が乏しかった難揮発性臭素化合物の高感度検出法を開発する。浸出水中の有機成分の特性化を検討し、有害性との関連、LC/MS分析結果との関連を明らかにして、包括分析としての位置づけを行う。また、誘導体化法によるアミノ化合物の同定手法を開発し、複雑系廃棄物を対象とした有機スズ化合物の分析法を開発する。
(4) 引き続き分解技術と研究として、標準品を用いて加圧熱水反応での分解機構を解明するとともに触媒の添加効果を調べる。金属ナトリウムによるPCBの分解メカニズムを解明する。PCN等の有機塩素化合物を光分解で無害化する技術を開発する。固体電解質を利用した電解還元法及びパラジウムやニッケルを担持した電極触媒還元法による有機塩素化合物の脱塩素化技術を開発し、高圧水素還元法による有機ハロゲン化合物の脱ハロゲン反応について基礎的検討を行う。

課題代表者

酒井 伸一