災害環境研究プログラム
(課題解決型研究プログラム)(平成28~令和2年度)
国立環境研究所研究プロジェクト報告 SR-151-2024
本報告書は、平成28年度~令和2年度の5年間にわたって実施した「災害環境研究プログラム」研究成果を取りまとめたものです。
国立環境研究所では、長年にわたり培ってきた環境研究の蓄積をもとに、平成23年3月の東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所事故の発生直後から、国や地方自治体、多くの研究機関等と連携・協働して、様々な被災地支援の災害環境研究を行ってきました。
その取り組みは、がれき等の災害廃棄物や放射性物質に汚染された廃棄物の処理処分、放射性物質の環境動態や生物・生態系影響、地震・津波による環境変化・影響、被災地の復興まちづくりと地域環境の創生など広範に及んでいます。平成25年3月には第三期中期計画を改訂し、「東日本大震災等の災害と環境に関する研究として、放射性物質に汚染された廃棄物等の処理処分技術・システムの確立や、放射性物質の環境動態解明、被ばく量の評価、生物・生態系への影響評価、災害後の地域環境の再生・創造等に関する調査・研究を、研究体制を整備して総合的・一体的に推進するとともに、福島県等他の機関との連携を図りつつ実施する」ことを明記し、3 つの研究プログラムを編成してこれらを推進しました。そして、平成28年4月からは、被災地に根ざした調査研究を力強く継続的に進めるため、福島県三春町に整備された福島県環境創造センターの研究棟内に開設した福島支部を拠点として、福島県や日本原子力研究開発機構(JAEA)をはじめとする関連機関、様々な関係者と力を合わせて、被災地の環境回復と環境創生に向けた災害環境研究に取り組んでまいりました。令和3年4月からは名称を福島支部から福島地域協働研究拠点と改めて、地域の様々な関係者との一層の関係構築を図りつつ福島の環境復興や将来の大規模災害への環境面からの備えのためにより直接的な貢献を果たせるよう取り組んでいます。
本報告書では、主として第四期中長期計画に災害環境研究が明記された平成28 年度~令和2年度の 5年間の成果をとりまとめていますが、災害環境研究は事故直後から継続的に実施してきた研究であるため、平成27年度以前の成果も含んでいます。本報告書の成果は、被災地の環境回復と復興、さらには国内外で頻発している自然災害の備えに役立つものと確信しています。最後に、本研究を実施するにあたり、環境省、福島県等の地方自治体、JAEA 等の研究機関や大学、民間機関をはじめ、多くの方々にご協力とご支援をいただきました。ここに深く感謝いたします。