森の息づかいを測る
- 森林生態系のCO2フラックス観測研究
環境儀 NO.28
森林のCO2吸収と放出。より正確な科学的知見を得るために、樹木だけではなく、草や土壌に至るまで森林生態系の全体を観測することが求められています。
地球温暖化問題の解決のために世界が協力して採択した京都議定書は2005年2月16日に発効し、温室効果ガス削減の第一約束期間が今年からスタートしました。日本は、この5年間の年平均で1990年比マイナス6%という温室効果ガス削減の国際約束に向けて、義務のある削減の本番に突入したのです。
国立環境研究所では、これまで多くの分野に及ぶ地球温暖化に関する研究を続けてきました。環境儀でも「地球温暖化の影響と対策No.2」、「海の呼吸No.6」、「最先端の気候モデルで予測する『地球温暖化』No.19」、「地球環境保全に向けた国際合意をめざしてNo.20」と最先端の研究成果を掲載してきています。
地球温暖化問題は全球的な規模で起きている現象で、その研究もあらゆる分野に及びますが、まだまだ解明されていない問題も多く残されています。たとえば森林がCO2の大きな吸収源であることは広く知られていますが、季節、地域、森林生態系の違いによる実際の状況はよく分かっていません。
本号では、これまで継続的に観測することが難しかった森林規模のCO2吸収・放出量の観測に苫小牧、天塩、富士北麓で取り組んだ「森林生態系炭素収支モニタリング」プロジェクトを中心に紹介します。