アレルギー反応を指標とした化学物質のリスク評価のあゆみ
本号で紹介した研究プロジェクトは2002年度から以下の課題に取り組み、現在も継続して取り組んでいます。
課題名:DEPに含まれる化学物質がアレルギー性疾患に及ぼす影響とメカニズムの解明に関する研究
DEP(ディーゼル排気微粒子)とDEPから抽出した脂溶性化学物質および残渣元素状炭素粒子をそれぞれ、アレルギー性喘息を発症したマウスの経気道に曝露し、病態に及ぼす影響を検討しました。
課題名:フェナントラキノンがアレルギー性疾患に及ぼす影響とメカニズムの解明に関する研究
DEPに含まれる多環芳香族の一つであるフェナントラキノンを、アレルギー性喘息を発症したマウスの経気道に曝露し、病態に及ぼす影響を検討しました。
課題名:ナフトキノンがアレルギー性疾患に及ぼす影響とメカニズムの解明に関する研究
フェナントラキノンと同じくDEPに含まれる多環芳香族の一つであるナフトキノンを、アレルギー性喘息を発症したマウスの経気道に曝露し、病態に及ぼす影響を検討しました。
課題名:フタル酸エステルが自然発症アトピー性皮膚炎に及ぼす影響に関する研究
アトピー性皮膚炎を自然に発症したマウスの腹腔内にフタル酸ジエチルヘキシル(DEHP)を投与し、病態に及ぼす影響を評価しました。
課題名:フタル酸エステルが塩化ピクリル誘発皮膚炎に及ぼす影響に関する研究
塩化ピクリルを耳介部に塗布してアトピー性皮膚炎を発症させたマウスの腹腔内にDEHPを投与し、病態に及ぼす影響を検討しました。
課題名:フタル酸エステルがダニ抗原誘発皮膚炎に及ぼす影響とメカニズム解明および「in vivo スクリーニングモデル」の開発に関する研究
ダニアレルゲンをマウスの耳介に皮内投与しアトピー性皮膚炎を早期に誘発させる「in vivoスクリーニングモデル」を開発、この方法で疾患を発症したマウスの腹腔内にDEHPを投与し、病態に及ぼす影響を検討しました。
課題名:in vivoスクリーニングモデルを用いた環境化学物質のアレルギー増悪影響評価
in vivoスクリーニングモデルを用いて、健康影響が懸念されている環境中の化学物質のアトピー性皮膚炎に対する影響を検討しています。
課題名:アレルギー増悪のより簡易なスクリーニング手法の開発I(DNAマイクロアレイを用いた短期スクリーニング手法の開発)
in vivoスクリーニングモデルにおける遺伝子発現の変化を、病態の進行とともに経時的、網羅的に解析し、解析遺伝子の中からより早期に変動する遺伝子を選抜することで、アレルギーの発症、あるいは増悪の検知が可能か否か検討中です。
課題名:アレルギー増悪のより簡易なスクリーニング手法の開発II(培養細胞系を用いた簡易スクリーニング手法の開発)
アレルギー反応に関わる樹状細胞、リンパ球の単独あるいは複合培養系を用い、in vivoスクリーニングと相関の良いin vitroスクリーニング手法が可能か否か検討しています。
これらの研究は以下の組織・スタッフにより実施されてきました。
研究担当者
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環境健康研究領域高野裕久、井上健一郎、柳澤利枝、小池英子、藤巻秀和(現、環境リスク研究センター)
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内分泌かく乱化学物質及びダイオキシン類のリスク評価と管理プロジェクトグループ石堂正美(現、環境リスク研究センター)、白石不二雄(現、環境リスク研究センター)
客員研究員
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市瀬孝道(大分県立看護科学大学)、島田章則(鳥取大学)、市川寛(京都府立大学)、古倉聡(京都府立医科大学)、井上衛(京都府立医科大学)