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2019年1月29日

生態毒性予測システム「KATE2017 on NET正式版」の公開について

(筑波研究学園都市記者会、環境省記者クラブ、環境記者会同時配付)

平成31年1月29日(火)
 

   環境省と国立研究開発法人国立環境研究所は、平成31年1月30日(水)に「生態毒性予測システム(通称:KATE(ケイト))のインターネット版「KATE2017 on NET正式版」を公開します。
   KATEは生態毒性QSAR(定量的構造活性相関)モデルの1つです。化学物質の構造式等を入力することにより、魚類急性毒性試験の半数致死濃度、ミジンコ遊泳阻害試験の半数影響濃度等を予測するシステムとして利用されてきました。本年度公開する「KATE2017 on NET正式版」は、平成23年に公開した「KATE on NET」の機能を充実させ昨年度から公開している「KATE2017 on NETβ版」の正式版です。「KATE on NET」に搭載されていた魚類及びミジンコの急性毒性予測の機能に加え、藻類に対する毒性や3種の慢性毒性予測の機能を追加したほか、QSARモデルの改良及び複数物質の予測機能の追加等を行っています。
 

1.生態毒性予測システム「KATE(ケイト)」について

   生態毒性予測システム(通称:KATE※1)は、環境省の請負業務として国立研究開発法人国立環境研究所において開発された生態毒性QSAR※2モデルです。
   KATEは、 CAS登録番号※3検索や、構造式エディタを用いた作図により、SMILES※4と呼ばれる文字列等を入力し、化学物質の部分構造等から魚類急性毒性試験の半数致死濃度(LC50)及びミジンコ遊泳阻害試験の半数影響濃度(EC50)等を予測することができます。

※1 KAshinhou Tool for Ecotoxicity
※2 Quantitative Structure-Activity Relationship(QSAR: 定量的構造活性相関)
化学物質の構造上の特徴又は物理化学定数と生物学的活性(毒性等)の相関関係を構造活性相関(SAR: Structure-Activity Relationship)といい、定量的なものを定量的構造活性相関(QSAR: Quantitative Structure-Activity Relationship)といいます。構造活性相関は、例えば、特定の官能基の有無から物質の有害性の程度を推測することを指し、構造を手掛かりに毒性等を定量的に算出する仕組みをいわゆるQSARモデルと呼びます。
※3 化学物質を特定するための最大10桁の数値からなる識別子
※4 化合物の分子構造等を印刷可能な文字で線形表記した識別子

2.「KATE2017 on NET正式版」とこれまでのKATEの公開状況について

   「KATE2017 on NET正式版」は、平成23年に更新したKATE2011のインターネット版「KATE on NET」の更新版で、昨年度公開した「KATE2017 on NETβ版」にいくつかの機能を追加した正式版になります。

平成23年3月 KATE2011を公開
(主な機能)
○概要

・生態毒性予測機能
ミジンコ急性毒性 …ミジンコ遊泳阻害試験における半数影響濃度(EC50)
魚類急性毒性 … 魚類急性毒試験における半数致死濃度(LC50)
・FITS※5を用いて化学物質の部分構造を定義
・実測log Pによる毒性予測を基本
・公開形態はインターネット版「KATE on NET」とスタンドアロン版「KATE on PAS」
・KATE2009(平成21年3月公開)からの更新点
KATE2009公開以降に報告された参照物質及び実測log Pデータを追加
ClogPを用いたQSAR式を更新
化学物質の部分構造の分類ルールおよび部分構造の定義を更新
構造判定に用いる皮膚感作性の反応性に関する部分構造を一部修正・追加

平成30年3月 「KATE2017 on NETβ版」を公開
(主な更新内容)
○データの追加

・参照物質データ(ミジンコ急性毒性と魚類急性毒性)に新しい物質データ(魚類:289物質、ミジンコ:109物質)を追加
・藻類毒性とミジンコ・魚類慢性毒性予測機能を追加
藻類毒性…藻類生長阻害試験における半数影響濃度(EC50)
藻類生長阻害試験における無影響濃度(NOEC)
ミジンコ慢性毒性 … ミジンコ繁殖試験における無影響濃度(NOEC)
魚類慢性毒性 … 魚類初期生活段階毒性試験における無影響濃度(NOEC)
・限度試験データの導入:表やグラフに出力され、構造判定※6にも使用
○QSARモデルの更新
・部分構造検索方式をFITS※5からSMARTS※7に変更
・化学物質の構造分類定義の改良
○ページ追加や表示・操作等の改良

平成31年1月 「KATE2017 on NET正式版」を公開
(主な更新内容)
○複数物質の予測機能の追加
○オクタノール・水分配係数の予測に米国環境保護庁のKOWWINを利用
○QSARモデルの更新

・化学物質の構造分類定義の改良
○ページ追加や表示・操作等の改良

※5 Fragment Identification by Tree Structure:KATE2011で使用している部分構造取得プログラム。
※6 KATEではあらかじめ定義された部分構造の有無により、予測値の適用範囲を構造判定として判断します。
※7 SMiles ARbitrary Target Specification:SMILES言語を拡張した部分構造表記用言語。

3.参照データについて

   KATEの構築に当たっては、環境省が実施した生態毒性試験結果※8及び米国環境保護庁のデータベース※9の魚類急性毒性試験結果を参照データとして用いています。

※8 http://www.env.go.jp/chemi/sesaku/seitai.html(環境省)
【外部サイトへ接続します】
※9 https://archive.epa.gov/med/med_archive_03/web/html/fathead_minnow.html(米国環境保護庁)【外部サイトへ接続します】

4.提供開始時期

   平成31年1月30日(水)を予定

5.アクセス先

6. お問い合わせ窓口

KATE担当(国立研究開発法人国立環境研究所環境リスク・健康研究センター内)
担当 大野、山本
TEL 029-850-2455 / FAX 029-850-2920 / Email kate@nies.go.jp

7.KATEの利用に当たっての注意事項

○ KATEによる予測結果については、化学物質の生態毒性影響の程度について、参考値を得るためのツールの一つとして御利用ください。環境省および国立環境研究所はKATEによる毒性予測値を保証するものではなく、また、KATEによる毒性予測値の使用により生じた損害については一切の責任を負いません。
○KATEによる予測が可能な化学物質の範囲など、利用に当たっての留意事項については「KATE2017操作マニュアル(正式版公開と同時に暫定版公開予定)」および「KATE2017技術ガイダンス文書(後日公開予定)」を御参照ください。
○本システムで得られた予測結果は、「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」に基づく届出に必要な生態毒性試験結果として利用することはできません。

環境省大臣官房環境保健部
環境保健企画管理課化学物質審査室
室長:東 利博
室長補佐:櫻井 希実
担当:笹原 圭

国立研究開発法人国立環境研究所
 環境リスク・健康研究センター
センター長:鈴木 規之
副センター長:山本 裕史
名誉研究員:白石 寛明
主席研究員:大野 浩一
高度技能専門員:今井 宏治