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2016年11月28日

化学物質評価・管理イノべーション研究プログラム(重点研究プログラム)
平成23~27年度

国立環境研究所研究プロジェクト報告 SR-114-2016

表紙
SR-114-2016 [8.7MB]

 化学物質審査規制法の平成21年改正や水生生物保全のための水質環境基準の設定、農薬取締法における農薬登録保留基準値の設定などでは、化学物質の生物に対する影響評価が必要となりました。また、ナノマテリアルの人の健康や生態系に対する影響が従来のハザード評価手法で対応できない可能性が指摘されてきました。このことから、新たに生態系保全やナノマテリアルを含めたリスク評価手法の確立が求められました。


 この背景を踏まえ、プロジェクト1「化学物質の生態リスク評価・管理手法に関する研究」、プロジェクト2「ナノマテリアルの毒性評価手法の開発と安全性に関する研究」、プロジェクト3「化学物質リスク管理の戦略的アプローチに関する研究」の3つの研究プロジェクトによって研究を進めてきました。具体的には、種個体群の存続可能性や生体影響試験の体系化などの課題、ナノマテリアルの体内や環境中での物理化学的性状や形状と毒性とを明らかにする課題、また、多様な影響や特性を持つ多数の化学物質に対する効果的かつ効率的な管理の方法などの課題について研究を実施しました。


 その結果、プロジェクト1では、化学物質の生態系への影響を評価する3栄養段階生態リスク評価モデル(A-TERAM)を完成させ、また種間相互作用等の生態学的要因を生態系影響評価手法に取り入れての解析を示しました。プロジェクト2では、カーボンナノチューブに曝露した細胞でDNA二本鎖切断の修復に関与する酵素の活性化が起こるなど、酸化ナノチタン、銀ナノ粒子ほか各種ナノ粒子の生体影響と生態毒性に関する知見を得ました。プロジェクト3では、排出推定-環境多媒体複合モデル(PeCHREM/G-CIEMS)による農薬リスクの解析、水銀の全球多媒体モデルの開発、不確実性や受容性に差のある情報に市民が懸念を強める度合いの分析などを行い、成果を得ました。


 本研究成果は、化審法における生態影響や曝露評価などにすでに具体的応用が進められていますが、今後ナノマテリアルの生体・生態影響や水銀の全球的管理などへの貢献も期待されるところです。


(環境リスク研究センター 白石寛明、青木康展、鈴木規之)

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