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2011年10月31日

「サマー・サイエンスキャンプ2011」 開催報告

【研究所行事紹介】

企画部広報室

 国立環境研究所では、7月27日(水)~29日(金)の3日間と8月15日(月)~18日(木)の4日間、それぞれ高校生を対象とした科学技術体験合宿プログラム「サマー・サイエンスキャンプ2011」を開催いたしました。このキャンプは、文部科学省の後援のもと、(独)科学技術振興機構が実施しているもので、当研究所では1999年から毎年参画してきました。今年は2つのコースを設定し、多数の応募者の中から選ばれた22名が参加しました。

 まず『環境と生物』コースでは、様々な環境から採取した土壌にどのような細菌がいるのかを調べ、環境の違いによる土壌細菌相の違いを比較しました。実習では土壌中の微生物から抽出した特定の遺伝子を遺伝子増幅装置(PCR装置)、電気泳動装置(DGGE装置)を使って増幅・分離し、多様な微生物遺伝子を確認することを行いました。講義についてもしっかりと聞き、作業を丁寧に行った結果、参加者全員が目標とする実験結果を得ることができました。

土壌中の微生物から抽出作業中
『環境と生物』コースの実習風景

 そして『東京湾の魚介類と環境を調べてみよう~東京湾の本当の姿を実体験!~』コースでは夏の強い日射しの中での船上作業となりましたが、漁業協同組合の皆さんの協力のもと、調査用の漁船に同乗し、東京湾で進行している生態系の変化を調査しました。東京湾の北部および南部の2箇所において、水質観測装置CTD/DOロガー(右上の写真)を用いた水質観測および底曳き網による魚介類採集を実際に行い、採れた生き物の種類や量の違いに驚きの声をあげていました。また持ち帰った魚介類は、種類、種別の個体数および重量を計測し、観測された水深別の水温、塩分及び溶存酸素濃度の測定結果と併せて、東京湾の実態について学びました。

船上作業中
魚介類採集後の実習風景

 参加した高校生たちは全国各地から集まったにもかかわらず、同じ目的を持つ仲間同士うちとけるのも早く、かつ研究や将来の進路について熱心に質問する姿が印象的でした。研究者から直接指導を受けられることや、最先端の装置を使った実験を行うなど、学校では体験できない貴重な経験となったようです。また短い期間でしたが、講師やスタッフにとっても探究心溢れる高校生たちとふれあえる実り多き時間となりました。

 今後とも、本プログラムへの参画を通して、より多くの高校生に科学や環境問題について興味や関心をもってもらう機会を提供していきたいと思います。