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国立環境研究所業務報告F-116-2011
「ため池に出現する生物とその環境 (メタデータ集)」 (平成23年3月発行)

 2010年10月に開催された生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)では、生物多様性の損失を低減するために愛知目標が定められました。今後は、その達成度評価のために、生物多様性の監視や評価のための研究が進展すると考えられます。そうした研究には、既存のデータを活用することが重要になります。本報告書は、2000~2010年にかけて、国立環境研究所が淡水域の生物多様性の保全に関する研究プロセスで得た、ため池の生物と環境についてのメタデータ集です。ため池は人為のかく乱が強い生態系であるため、その生物と環境について、これまであまり研究されることがありませんでした。しかし、生態系の劣化が著しい淡水域の中でも、ため池にはまだ多くの絶滅危惧種が生育・生息していることが認識されるようになりました。また、それと同時期的に、そうした生き物が、水質汚濁、外来種の侵入、コンクリートを多用した近代的な改修などにより、急速に消えつつあることもわかってきました。本報告書が、今後の研究の一助となり、少しでも淡水域の生物多様性の保全に寄与できればと願っています。

(環境リスク研究センター 高村典子)
 

環境儀No.40 「VOCと地球環境-大気中揮発性有機化合物の実態解明を目指して」 (平成23年3月発行)

 光化学オキシダントの生成、成層圏オゾン破壊や地球温暖化現象に関係する大気中の揮発性有機化合物(VOC)の発生源は、人為起源と自然起源の両方があります。国立環境研究所では、化学環境研究領域の横内陽子室長が中心となり、30年以上にわたり自然起源のVOCや人為起源のVOC(特に代替フロン類)の地球規模での動態解明を目的とした観測研究とそのネットワーク化に取り組んできました。本号では、(1)植物から放出されるVOC(主にテルペン類)によってブルーヘイズ(田園地帯などで夏に見られる青い靄のこと)が生じること、(2)熱帯雨林に自生する「ヒカゲヘゴ」などから塩化メチルが大量に放出されていること、(3)海起源のハロカーボン類のベースラインを明らかにしたこと、(4)冷媒としてよく用いられている代替フロンHCFC-22およびその副生成物HFCの北東アジア地域の排出分布を推定し途上国の処理効率の向上が重要であることなど、幅広の観測研究成果を平易なコラムも交えて解説しています。

(環境儀No.40ワーキンググループリーダー 西川雅高)
 

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