「第26回地方環境研究所と国立環境研究所との協力に関する検討会」報告
田崎 智宏
地方環境研究所(以下,地環研)と国立環境研究所(以下,国環研)との協力関係をより一層深め,発展させることを目的として,「地方環境研究所と国立環境研究所との協力に関する検討会」が平成19年2月22日に国環研において開催されました。第26回を迎えた今回は,地環研側から全国環境研協議会(全環研)の長谷川猛会長(東京都環境科学研究所長)をはじめ,副会長,支部長及び常任理事計10名(うち代理2名),環境省総合環境政策局環境研究技術室の室石康弘室長,環境調査研修所の池田善一次長,そして国環研側からは大塚理事長をはじめ幹部職員など12名の出席がありました。
検討会では,地環研と国環研との連携状況について国環研企画部からの説明がなされた後に,具体的な連携事例の紹介として3件の共同研究((1)関東地方におけるオゾンによる植物被害とその分子的メカニズムに関する研究,(2)日本における光化学オキシダント等の挙動解明に関する研究,(3)バイオアッセイを用いた全国特定河川及び環境空気の曝露モニタリングに関するパイロット研究)についての発表がありました。地球温暖化問題に代表される新しいタイプの環境問題を対象とした共同研究を充実させることや次の世代の研究者を確保することの重要性が確認されました。続いて,昨年度(第25回)の検討会における全環研からの要望事項3件について,その後1年間の進捗のフォローアップ報告((1)地環研間の連携強化のための地環研と国環研との共同研究事業,(2)機種間差があるLC/MSのデータベースの構築に関する協力,(3)産学官の連携による環境産業等新産業に繋がる地域研究課題への取組)がされました。その後,全環研から今年度の要望事項4件((1)分析の精度管理用標準試料の作成と配布体制の構築,(2)温暖化にかかる共同研究(C型研究)の推進,(3)共同研究(A・B・C型研究他)の推進と調査研究に対する技術支援の一層の拡充,(4)大気汚染物質の評価指針等の改定)が読み上げられ,それぞれについて,国環研から回答がされました。また,国環研研究者から,全環研と環境省自然系研究機関との連携強化の要望が出されました。最後に,上記以外の点を含めて,今後の協力に向けた率直な意見交換が行われました。厳しい研究所運営環境のなか,相互理解を深めることができたことは,今後の環境研究を共同して発展させることにつながると考えられます。
研究企画主幹)
目次
- イノベーションと環境研究巻頭言
- 衛星利用による二酸化炭素等の観測と全球炭素収支分布の推定【シリーズ重点研究プログラム:「地球温暖化プログラム」から】
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発生源インベントリーの開発
−大気汚染物質はどこでどのくらい発生しているか−【研究ノート】 - 人工衛星から大気中の温室効果ガスの量を測るには?【環境問題基礎知識】
- 絶滅危惧種イトウを巡る国際共同研究【海外調査研究日誌】
- 南極レポート(第1回:「プロローグ」)【海外調査研究日誌】
- 「第22回全国環境研究所交流シンポジウム」報告
- 平成19年度の地方公共団体環境研究機関等と国立環境研究所との共同研究課題について
- オンラインマガジン「環環」創刊!!
- 独立行政法人国立環境研究所公開シンポジウム2007 『未来を拓く環境研究 −持続可能な社会をつくる−』
- 新刊紹介
- 表彰
- 人事異動
- 編集後記
- 国立環境研究所ニュース26巻1号