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 受賞者氏名:榎本 孝輝(現 茨城県県北地方総合事務所),横内陽子,泉 克幸
         (東洋大学),稲垣 敏治(宇宙航空研究開発機構)
受賞年月日:平成18年9月21日
賞の名称:論文賞(社団法人 大気環境学会)
受賞対象:大気環境学会誌第40巻第1号に掲載された原著論文「PFC,HFCを
       含むハロカーボン分析システムの開発と大気観測への応用」
受賞者からひとこと:
  本論文は,成層圏オゾン層破壊や地球温暖化の原因となるハロカーボン類の新しい分析法を開発したものです。極低沸点のPFC-14(四フッ化炭素)を含む20種類以上のハロカーボン類を液体窒素のような寒剤を使用することなく,小型冷凍器内のトラップに濃縮捕集した後,高感度なGC/MSで測定するシステムを構築しました。これを相模湾上空で採取された大気の測定に応用し,得られた濃度の鉛直プロファイルから国内のハロカーボン排出量を推定しました。本システムは,その後,波照間島および落石岬におけるハロカーボン類の高頻度連続モニタリングへと発展し,アジア域におけるCFC(クロロフルオロカーボン),HCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン),PFC(パーフルオロカーボン),HFC(ハイドロフルオロカーボン),六フッ化硫黄等の排出動向を把握するための研究に役立っています。

(横内)


 

受賞者氏名:横内 陽子
受賞年月日:平成18年10月26日
賞の名称:堀内賞(社団法人 日本気象学会)
受賞対象:「大気中の自然起源揮発性有機化合物の動態解明に関する研究」
受賞者からひとこと:
  森林や海洋などの生物圏から大気中に放出される揮発性有機化合物(以下VOC)はエーロゾルやオゾンの前駆体物質として,あるいは成層圏オゾン破壊物質などとして,対流圏および成層圏の大気質に重要な影響を及ぼしています。それらの中で,a.森林起源有機ガスと二次生成エアロゾルに関する研究,b.塩化メチル発生源の特定に関する研究,c.海洋起源VOCの分布と発生源に関する研究に関わったことで,表記の賞をいただきました。自然起源VOCの動態解明は,現在の地球システムを理解し,今後の気候変動が自然界からのVOC発生量をどのように変動させてどのような結果をもたらすかを考える上で必須な課題です。残念ながら,環境問題としてはなかなか重要性を理解されてこなかった分野ですので,今回の評価を大変うれしく思っております。なお,本研究の成果は,これまでの上司,同僚,国内外の多くの共同研究者による指導・協力・支援の賜物であり,皆様に心より感謝の意を表したいと思います。

 

受賞者氏名:亀山 哲,福島 路生
受賞年月日:平成18年11月17日
賞の名称:第3回GISコミュニティフォーラム マップギャラリー賞3位
受賞対象:来場者および選考委員の投票の結果,優秀作品として認められたもの。
受賞者からひとこと:
  この賞は2006年11月に東京で開催された「第3回GISコミュニティフォーラム」において,出展されたポスターの中から選ばれたものです。共同研究者は福島路生(国環研),韓美徳(筑波大),雨宮衛(筑波大),金子正美(酪農学園大)〔敬称略〕です。研究では,全国の絶滅危惧淡水魚類のうち35種を対象とし,一般化線形回帰モデルを用いて生息適地の定量化と空間的評価を行いました。得られた知見としては,モデルの説明変数に水質・気象・流域構造の他,河川横断構造物による生息地分断と竣工後の経過年数を新たに導入した結果,一部の回遊性魚類の生息地ポテンシャルに影響(低下傾向)が確認されました。また,入力用データベースと結合システムを大幅に拡充・改善した結果,過去の状態からの変化抽出,将来予測なども可能としました。なお本研究はグループの既存業務「流域生態系の再生プラン支援を目的とした河川ネットワーク解析技術の開発」の他,2006~2008年度科研費「全国を対象とした淡水魚類生息地ポテンシャルの時空間解析と流域再生支援システム」の成果の一部でもあります。


(亀山)


 

受賞者氏名:青木 陽二
受賞年月日:平成18年11月28日
賞の名称:「ポスターセッション」学術委員長賞(社団法人 環境情報科学センター)
受賞対象:優秀なポスター発表に対して
       「1900年までに来日したスエーデン人の風景記述に及ぼした植物分類
        学の知識」
受賞者からひとこと:
  何度か同じ発表をすると発表も上手になるものです。それが受賞の一つの理由です。スエーデンでの発表ではグスタフ国王が聞いてくれました。良い思い出となりました。この研究は植物分類学者の近田文弘博士とツンベルグの旅行記を翻訳されたスエーデン語学者の高橋文先生の指導の御陰です。先生方と共に受賞を喜びたいと思います。



受賞者氏名:谷本 浩志
受賞年月日:平成19年1月11日
賞の名称:大気化学研究会奨励賞(大気化学研究会)
受賞対象:大気化学の分野における研究の発展に大きく貢献する成果に対して
       「測定の標準化と観測の統合化に基づく地表オゾンの時空間変動に
        関する化学輸送モデル解析」
受賞者からひとこと:
  日本大気化学研究会から,大気化学の研究分野における若手研究者に対して与えられる奨励賞を頂きました。受賞の対象となった研究内容は,精確なオゾン標準の確立とそれを用いたオゾン観測の統合化,そしてそれらの取り組みに基づいて再現された地表レベルにおけるオゾンの時間的・空間的変動を化学輸送モデルと呼ばれるコンピューターモデルで解析したものです。これらは,私が2001年に入所して以降取り組んできた一連の研究で,主に自分で立案・遂行・論文化してきた成果が認められたことは非常に嬉しく思います。と同時に,確立した標準を用いてどのように国内の観測をネットワーク化していくか,対流圏オゾンのもととなる物質について,特にアジアからの排出量の推定精度をどのように向上していくか,など多くの課題も浮かび上がってきました。この場を借りて関係者各位にお礼申し上げるとともに,今後も本研究を鋭意推進していきたいと思います。