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国際共同研究の推進に向けて

巻頭言

主任研究企画官 奥村 知一

奥村  知一の写真

 国立環境研究所では,各国との環境保護協力協定,科学技術協力協定に基づくプロジェクト,地球環境研究総合推進費による研究,本研究所の開発途上国環境技術共同研究費による研究など,種々の形態で国際的に共同研究を実施してきている。近年の地球的規模の環境問題の拡大により,国際共同研究の件数は年々増加しており,研究者の交流とともに研究所の関与する国際会議も増えてきている。研究のフィールドも,熱帯林の研究はマレーシア,温暖化現象解明の研究はシベリア,水浄化技術の研究は中国,タイなど,外国にフィールドを求める研究も増えてきており,現地に滞在した研究活動を行うようになってきている。また,外国人研究者の受け入れの数は,平成4年度42名,5年度54名,6年度69名と増加しており,地球環境研究総合推進費により7年度から開始された国際交流研究制度などにより,ますます増加する状況にある。

 本研究所では,国際的な研究協力については共同研究の実施者及び地球環境研究センターの交流係関係を除くと,昨年までは,人的な面で国際研究協力官1名が専任していたに過ぎなかったが,このような状況を踏まえ,国際共同研究官が新設されたのを機会に所内で検討を進めた。その結果,IGBP(地球圏−生物圏国際共同研究計画),APN(アジア太平洋地球変動研究ネットワーク),HDP(地球環境変動に関する人間的側面研究計画)等の国際的な動きについて,国環研における対応を検討すること等を目的とした組織の整備を図ることとし,7年4月に副所長を室長とした国際室を設置した。しかし,これは併任職員を除くと,実員は国際共同研究官,国際研究協力官,補助職員2名の計4名である。

 国際的な共同研究が拡大する中で,本研究所の使命を果たすため限られた人的資源の下で努力しているところである。定員(研究職185名:7年度末)が増えない中,国際共同研究に係る研究費の拡大の一方において,実りある研究成果を得るためには,増加する外国人研究者(国内の客員研究員,共同研究員を含め)のインフラを含めたよりよい研究環境の整備,支援体制の強化拡充が課題となっている。

執筆者プロフィール:

前職は環境庁保健企画課長として,水俣病問題,有害化学物質対策等を担当。
〈現在のテーマ〉組織改革後5年が経過し,現状に合わせた適切な軌道修正,運営の改善等を行えるよう努めたい。