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2011年7月31日

研究者に聞く!!

Interview

写真
横田達也(写真左)
地球環境研究センター GOSATプロジェクトリーダー

シャミル・マクシュートフ(写真右)
地球環境研究センター GOSATプロジェクトサブリーダー

 2009年1月に温室効果ガスを測定する観測技術衛星「GOSAT」が打ち上げられました。「GOSAT」は打ち上げ後、すでに2年以上になり、順調に温室効果ガスの観測データを送り続けています。このプロジェクトに携わっておられる国立環境研究所GOSATプロジェクトリーダー横田達也さんと、サブリーダーのシャミル・マクシュートフさんにお話をうかがいました。

地球上の温室効果ガスを宇宙から計測

1: 環境省、国立環境研究所、JAXAの三者の協力関係が功を奏す

  • Q: 最初に、お二方のこれまでの研究歴からお話をうかがいたいと思います。
    横田: 私はこの3月31日で環境研究所に30年間いることになります。大学院の頃からリモートセンシングを専門にしており、最近の20年以上は人工衛星のデータ処理に関与し、このGOSATのプロジェクトが3回目の衛星観測プロジェクトにあたります。最初の2つは、当時の地球環境問題であったオゾン層の破壊を監視するための日本で初めての衛星センサILASとILAS-IIです。残念ながらいずれも計画では3年動くはずのものが8カ月で止まってしまいました。今回のGOSATは3度目の正直というか、打ち上がってから2年以上、今も元気に動いています。
    また、これらの衛星のデータ処理手法には共通する点があります。非線形最小二乗法といって、大気の衛星観測プロセスを計算機の中に高精度にシミュレーションして、測ったデータの状況に合わせて解くという手法を用いるのですが、違いは信号の強さにあります。オゾン層を測るセンサは大気をかすめて届く太陽の直達光を測るので非常に信号が強いのですが、GOSATは地球からはね返って来る光を受けるので弱い。ですからノイズとの戦いという意味では、今のGOSATは、届く光の信号が弱いため難しさがあります。また、オゾン観測センサでは気体の成層圏での高度分布を出せるのですが、GOSATでは「カラム量」(地表面付近の濃度を含む地球表面から大気の上端までの気体の積算量)しか測れません。それから、オゾン層観測センサのデータ処理手法は、欧米の既存センサを手本にできたのですが、このGOSATプロジェクトは世界とも横並びで協力し競争しているものですから、研究は最先端、最前線でしたので難しさがありました。

    マクシュートフ: 私が環境研に来たのは20年前でした。その時は大気化学シミュレーションモデルを研究する目的で、オゾンや大気汚染物質が対象でしたが、環境研や環境省では温室効果ガス研究にフォーカスを移そうという動きの中で、我々もそれに力を入れるようになりました。初めは地上モニタリングやシベリアでの航空機観測を行い、そのデータの解析とモデルのシミュレーションがメインの仕事でした。取得したデータからどのように地表面でガスの吸収や排出がなされるかを推定するモデルです。モデル開発を進めながら、データも蓄積され、推定がうまく行くようになったのは大体10年前です。私は2000年から5年ほど一時的に環境研の外に出て、JAMSTECとNASDAの共同プロジェクト「フロンティア」に参加しました。そこに東北大学の中澤先生をリーダーとする温室効果ガスグループができ、そのグループの中で、濃度の観測データから吸収・排出量を推定するという研究を進めました。その研究との繋がりから実際にGOSATで同様のモデルを開発する必要が出てきて、私はまた環境研に戻りました。

    横田: 補足をさせていただくと、このGOSATプロジェクトは環境省・JAXA・私どもの三者の共同プロジェクトですが、従来の衛星とは違って気体の濃度データを出すことだけが目的ではない。そのデータを吸収・排出量の推定モデルに利用することも目的の1つです。そのアウトプットを環境研から出すために、所定の手続きの後にマクシュートフさんにフロンティアから環境研に来ていただいたという経緯があります。
  • Q: 三者の枠組みについて、どこがどんな役割で仕事を進めているかお話しください。
    横田: これまでJAXAが衛星を打ち上げ、ユーザーがデータを使うという構造だったのですが、宇宙開発委員会からの要請もあって、データの利用機関にもセンサの設計の段階から入り、三者が一緒になってスタートしました。JAXAは人工衛星、センサ、それからデータの一次処理をします。我々はそのデータを頂いて、二酸化炭素(CO2)やメタンの濃度情報にコンピュータで変える。これがプロジェクトの1番目の目的です。さらにその衛星観測データと地上で測ったデータとを併せて、モデル解析担当のマクシュートフさん達のグループがCO2の吸収と排出に関する精度の高い情報を出す。これが2番目の目的ですね。環境省は、サイエンス面での成果を通じて、国際施策の場におけるプレゼンスや日本の温暖化対策に関する姿勢を示すことになる。ところで、このような衛星観測プロジェクトに日本政府の環境省が分担者として入っているというのは、国際的には非常に珍しいことなのです。プロジェクトの発足時点で、京都議定書の第1約束期間である2008年から2012年に合わせた観測を目指しました。実際には当初目標から半年ほど遅れて2009年1月に打ち上がりました。この遅れも、私が経験したプロジェクトの中では非常に短いです。京都議定書の第1約束期間を目指してJAXAも懸命に準備を進めてくださり、当初目標と同一年度内に打ち上がりました。
  • Q: そうするとセンサの設計とか、どんなスペックじゃないといけないとか、環境研の貢献は大きいと思いますが、実際にどのように貢献されたのでしょうか。
    横田: プロジェクトの立ち上げ段階では、センサをまずどのような波長範囲で、どのように測ろうかということをシミュレーションを用いて検討しました。これは住明正先生(東大)を中心とするGOSATプロジェクトの開始に関する検討委員会のワーキンググループ作業として実施したことです。それから、メーカーがセンサの製作に入り、そのデータ確認会や検討会の場に私どもやサイエンスチームの研究者もオブザーバとして参加させていただき、いろんな質問や指摘を出すことができました。センサの開発・製作というのは、コストと時間と性能とのバランスの中で進められますから、ユーザーとして譲歩できる点とどうしても性能を確保してほしい点について意見を出し、実際に考慮していただいたこともあります。例えば、雲やエアロゾル観測のためのセンサの仕様決定には、サイエンスチームの有識者からの声が生かされました。研究者にとっても事前にセンサの特徴(良い点、不十分な点)について把握できる利点があります。このように、利用側の研究者と開発側のJAXAやセンサ製作者が要所で確認をしながらセンサの製作を実現できたこと、これも非常に良かった点だと思います。
  • Q:三者のプロジェクトであるという点でご苦労されたことはないですか。
    横田: 科学者、研究者はセンサの性能は良ければ良いほどいいんです。でも作る側は時間の制約、お金の制約、それから技術力の制約などがあって、最低限の性能が満たされればそこでセンサの製作を完了し、性能試験を打ち切りたいと要望されます。そのあたりで関係者間の調整が大変でしたね。宇宙に行った後では装置の特性はわからなくなるから、いろんな性能試験を実施しておいてほしいと要望したのですが、JAXAや環境省は、打ち上げ期日を守れるかどうかにも主眼があるわけですね。そうすると、試験も必要最小限にして打ち上げようとします。我々の要望を知っているセンサメーカーやJAXAの現場の担当者の方々は、種子島でも試験を続けてくださっていたようです。

図1
図1 衛星による大気の観測方式(ILASとGOSAT)の比較
日本のオゾン層観測センサILASとILAS-IIでは、太陽を光源として、大気をかすめる方向に観測をしました。これを「太陽掩蔽法(たいようえんぺいほう)」と呼びます。これによってオゾン濃度の高度分布が得られます。一方GOSATでは、「下方視観測方式」により、地球表面で反射された太陽光を測ります。これにより、地表面に近い対流圏にある温室効果ガス濃度に感度があります。ただし、使用する波長帯の関係から、求められるのは「カラム量」(地表面から大気上端までの仮想的な空気の柱(カラム)の中にある分子量)です。

図2
図2 GOSATプロジェクトを推進する三者の役割
GOSATプロジェクトは、環境省、国立環境研究所、宇宙航空研究開発機構の三者により、それぞれ図に示されるような役割分担をもって相互の協力のもとに推進されています。

2:CO2の吸収・排出量分布や地球上のCO2の三次元分布を推定

写真:2009年1月23日 GOSAT打ち上げ
  • Q:打ち上げから現在まで、どんな経過を辿り、今、どのへんまで来たかという、全般的なことをお話ください。
    横田: まず、観測し解析した濃度データの公表時期には、打ち上げ前から目標が置かれていました。打ち上がって1年後には測定したCO2、メタンの濃度を公表する、これは今まで地上では地球をくまなく測られていなかったので、それらのデータを提供するためです。公表までに1年をいただいたのですが、実際は手法の調整には不十分でした。我々の処理で濃度データがきちんと出されるには、JAXAの作成する輝度スペクトルがしっかりしていないとうまくいきません。これを校正(キャリブレーション)というのですが、初期校正は打ち上げ3カ月後の4月に完了したものの、その後も精密な校正作業が進められました。つまり、スペクトルデータや装置の特性を表す関数が少しずつ変化する。ですから我々の処理手法もなかなか定まらない。さらに処理してみてはじめて手法の改良が必要な事象にぶつかる。一方で打ち上げ1年後にはデータを出さなくてはならない。地域によってはいくつか問題点は残っていましたが、グローバルにはこれまでのサイエンスの知見と整合しているような結果が得られましたので、2010年2月18日に初めてCO2とメタンの全球の濃度データを公開しました。そこには、事前のシミュレーションで誤差が生じるかもしれないと予想されたように、サハラ砂漠の付近で高濃度のCO2が目立ったのです。砂漠には主だったCO2の発生源はありません。しかし、砂漠からの砂塵が空高くに舞い上がると、その砂塵で観測する光が多重散乱され、見かけ上たくさんのCO2があるかのように推定されるのです。それにうまく対処する改良版の処理手法の完成には、もう3~4ヵ月かかりました。そして、改良版による処理結果を2010年8月に公開しました。現在はその版で公開を続けていますが、公開の約束期日を守ることとデータ質をより高めることとのバランスが難しい点です。
  • Q:そうすると今は、全地球表面についてそういった濃度分布がだんだんとわかってきているという状況ですか。
    横田: 一応2年間程度のデータは蓄積してきているのですが、まだ2つ問題に直面しています。1つは衛星からのデータによる濃度の時間変化、地域変化はある程度出されているのですが、測定されたカラム濃度データが地上で測った値よりも常に低めに出ている点です。「負のバイアス」と呼んでいますが、その原因を追求し、負のバイアスがなくなるように処理の手法を改良する必要があります。もう1つは、雲などの影響で濃度値を出せない領域が多くある点です。データのふるい分け(スクリーニング)の手法や処理手法を精密にしていくことによって、今まで出されていなかった領域についても場合によってはCO2やメタン濃度を出せるようになるかもしれません。これらの点も改良していきたい。
  • Q:エルニーニョとかラニーニャの影響で、2年間といってもデータがかなり変化している可能性があると思うのですが、そのあたりはいかがでしょうか。
    横田: GOSATは5年間の観測が目標ですが、衛星の軌道と姿勢制御は10年以上可能ですので、実際には5年以上測れると期待しています。打ち上がった2009年はエルニーニョの年でした。これは2010年の3月ぐらいまで続き、その後ラニーニャに移っています。この間の濃度のコントラストは大きいはずです。GOSATのデータでも、2009年と2010年でCO2濃度が同じ月と比べて大きく増加しているのが見えています。また、メタンは全球的にはこれまで何年か横ばいでしたが、2007年ぐらいからまた濃度が上がり始めたことが知られています。研究者達はその原因を追求していますので、「いぶき」のデータがその科学的な解釈のヒントを与えられれば良いな、と思っています。それにはもっとデータの質を高めなければなりません。今年度中には処理手法をさらに改良する計画で研究とプロジェクトを進めています。
  • Q:温暖化施策への貢献という政策的な観点もありますので、結構苦労されたところでしょうね。
    横田: そうですね。温暖化施策への貢献はできるかどうか、まだこれからのことですが、これらに関与できたというのは、我々研究者にとっては良かった面もありました。COP15(第15回気候変動枠組条約締約国会議)での展示などを通して、新興国やアフリカ、東南アジアの方々がどのような要望を持っているかという生の声を聞くことができました。ただ、CO2やメタンはあまり測ってほしくないという国もあるようですね。つまり、我々の研究成果は必ずしも歓迎されない場合もあり、難しいテーマなのだなと思いました。

図3
図3 CO2カラム濃度の四季の変化
GOSATに搭載されている「温室効果ガス観測センサ」からは、晴天域のCO2のカラム平均濃度(カラム中の乾燥空気に対するCO2分子の体積比率)が観測されます。図は、月別に観測データの空間補間により求められたマップを四季で比較したものです。北半球の夏から秋の高緯度において、植物による光合成によって低濃度が観測されることがわかります。

図4
図4 メタンカラム濃度の四季の変化
「温室効果ガス観測センサ」からは、同様に晴天域のメタンのカラム平均濃度が観測されます。図は、メタンのマップを四季で比較したものです。メタンは排出源の多い北半球が年間を通して南半球よりも高濃度であることがわかります。
写真:GOSAT搭載「雲・エアロゾルセンサ」のレベル3雲無し画像(2010年7月分)
  • Q:GOSATのデータが出てきたところで、今そのデータを使って、どのようなことをされていますか。
    マクシュートフ: 逆計算モデルを用いて、地域別のCO2の吸収と排出に関するデータプロダクトを作成する作業を進めています。これには、いろいろな苦労もあります。例えば、今のGOSATのCO2濃度データには負のバイアスもありますし、バラツキも大きいので、それを用いて吸収量を求めた結果には、衛星データの取り込み方によって、誤差が出ます。そのため、どの程度衛星データをふるい分けすれば良いかなどの調整が必要で、現在はそれを行っているところです。観測データだけに問題があるのではなく、我々の大気輸送モデルにも少し誤差があります。このような問題を解決しながら、我々のチームが研究と開発を頑張っているところです。
  • Q:逆計算のためのモデルというのは、もともとマクシュートフさんが研究されていたものですか。それとも このGOSATのために新たに開発されたものですか。
    マクシュートフ: 他の研究で開発されたモデルですが、GOSATのためにいろいろと改良しています。例えば、以前の研究では地上観測を対象としていたので成層圏での結果が間違っていたとしても大きい影響がありませんでした。今回は、カラム量を測っているので、成層圏のこともきちんと考慮しなくてはなりません。ところが成層圏の濃度変化はその下の対流圏よりも動きが遅れています。CO2の場合、成層圏の濃度は対流圏濃度から5年ほど遅れています。対流圏では毎年2ppmくらい増えているので成層圏の方が約9ppm低くなります。そういう事実にはちゃんと調整しなければモデルが整合できない。メタンはもっと難しい。CO2は9ppm程度低いのに対して、メタンは成層圏で半分の濃度になってしまう。今まで気にならなかったことが、モデルの世界では初めてぶつかる問題であるということがあります。
    また、この3月に、我々の大気輸送モデルに最新の研究成果を取り入れることで、より微細な空間構造をシミュレーションできるようになりました。この手法を全球スケールで行ったのは、たぶん我々のグループが世界で初めてだと思います。
  • Q:どのくらい細かく見ることができるようになったのですか。
    マクシュートフ: 例えば気象予報でしたら、日本だけであれば、もう1キロとか2キロの細かさで計算できるのですが、全球ではそれは難しい。普通の全球モデルでは250kmくらいの計算点の格子(グリッド)になりますが、我々のモデルは0.5度から1度、およそ50kmから100kmの細かさをもっています。
  • Q:最後に、この研究が今の地球温暖化の問題に対してどんな形で貢献するかということについてお話ください。
    マクシュートフ: この研究が生まれた原点には、国ごとの吸収量を知りたいという目的がありました。例えば森林管理のデータを使ってどの国がどれぐらい吸収しているかを知るという方法もあるし、森林の情報はたくさんあるので、どれぐらいバイオマスを得たかということから計算して、国は今後、年に5億トン排出できるとか、あるいは年2億トン排出することができるなどといったことを推定できます。他には、タワー観測で、直接フラックスを計って、この国はこのぐらい排出することができるということもできます。しかし問題はもととなっているデータの推定値にバラツキがあるということです。それをどう解決すればいいか。このような議論の際にGOSATのデータを取り入れれば、モデルは良くなるのではないかという話が10年前の論文に出ていました。例えば、大きな問題の1つに熱帯辺りにはあまり観測データがないため、そこでモデルがあいまいな部分はそのようなデータのない場所で全部調整してしまう。全体の吸収量を積算してみてちょっと足りなかったら、観測データのないところで調整してしまいましょうとしていたのが、GOSATの観測データが入ることで正しくなる。これが皆が期待していた衛星観測の効果の1つだと思います。

    横田: GOSATはなかなか熱帯まで濃度データが出てないのですが、熱帯とはいえ、いつも雲に覆われているわけではなく、乾季雨季がはっきりしていますので、晴れているところの観測データをきちんと解析すれば、少ないけれども得られるデータはある。これはとても貴重なデータになります。また、私見ですが、GOSATプロジェクトには2つの側面があると思います。1つは科学の側面、もう1つは環境教育、つまり啓発の側面です。地球上で、どのようにCO2やメタン濃度が変化しているかを実際に測って、それを視覚的に「見える化」することによって、誰でも認識しやすくなる。実際の変化の状況が視覚的に把握できるようになる。つまり啓蒙啓発、環境教育に役に立つと言えます。GOSATは炭素循環や地球温暖化の将来予測への貢献を目指した衛星観測の第一歩です。ですから、まず地球でこれまで測られていない地域を測る。そのデータを用いて、マクシュートフさんのグループや世界のモデル解析グループが吸収・排出量の推定結果を出す。このように、GOSATのデータや今後の類似の衛星センサによるデータを取り入れて、精度が高められた地域別の吸収・排出量の結果が独立に出されれば、将来予測の精度が上がることになります。将来予測の精度が上がれば、政策決定者達は、どこのレベルで温室効果ガスの排出を規制するべきかなどの判断がしやすくなります。つまり、よりわかりやすいデータ、より確実なデータが、将来の温暖化の防止に繋がる判断の1つの材料として用いられる。GOSATがその第一歩になってもらえればと思っています。
  • Q:今後のご活躍を期待しています。
図5
図5 大気輸送モデルを用いてシミュレートした大気中のCO2の全球分布
気象庁予報システムの風向・風速データを基に国立環境研究所の大気輸送モデルを用いてシミュレートした大気中のCO2の全球分布(2008年7月の例)。CO2濃度は、火力発電所や土壌からの放出、森林や海洋による吸収、風による輸送の総合結果として得られます。北半球の夏には、西ヨーロッパからの空気の流れに対して光合成が活発なシベリア域でのCO2濃度は低くなっています。

図6
図6 インバース(逆推定)モデル解析
大気輸送モデルは、現実の濃度変化の世界をコンピュータを使った数値計算によってシミュレーションするためのものです。その推定濃度が観測濃度に近くなるように地域的なCO2の吸収と排出の量(フラックス)を調整することにより、地球上の広い領域でのフラックスがより正しく推定されます。観測できるのは「濃度」です。このように、総合的な結果として生じている濃度の観測値から、その要因であるフラックスを推定することを、「インバース(逆推定)モデル解析」とよびます。観測値を広い範囲で密に偏り無く、高頻度で取得できるほどフラックスの推定精度が上がります。

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