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オゾン層変動の機構解明
- 宇宙から探る 地球の大気を探る

環境儀 NO.10

中島英彰/横田達也
人工衛星からのデータはオゾン層破壊を防ぐための重要なカギとなります。

 宇宙から地球環境を観測する。オゾン層の破壊や地球温暖化など、地球規模の環境問題が表面化し始めた1980年代後半、国際協力による地球環境監視に役立てることなどを目的にした日本独自の衛星打ち上げの気運が高まりました。それから10年近くたった1996年、地球観測プラットフォーム技術衛星(ADEOS:Advanced Earth Observing Satellite)が打ち上げられ、「みどり」と命名されました。

 ADEOSには宇宙開発事業団(NASDA)が開発した陸域の環境を監視する可視・赤外線センサーと海域のクロロフィル-aや海水表面温度を把握するセンサー、通産省(当時)の開発した大気中の温室効果ガスを観測するセンサー、環境庁(当時)の開発したオゾン層を観測するセンサー、さらにアメリカやフランスの開発したものを含めて8種類のセンサーが搭載されました。なお、ADEOSは現在運用観測を停止し、後継のADEOS-II「みどりII」が稼働しています。

 国立環境研究所では、1988年から開始した北極や南極付近の成層圏を対象とした「衛星観測プロジェクト」に、ADEOSに搭載する改良型大気周縁赤外分光計(ILAS:Improved Limb Atmospheric Spectrometer)の開発段階から参加しており、成層圏オゾン層の変動に関連した研究に取り組んでいます。本号では、「オゾン層とその機構解明」の最新の研究から得られた新しい知見を紹介します。