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講演4「マラリア再考(再興)−環境との関わり、日本への影響−」

東京・京都会場でのアンケートに寄せられた質問に、講演者(小野雅司)が回答します。
多数のご質問をいただきましたが、似た内容の質問をまとめるなど主催者側で整理しましたことをご了承下さい。


Q1:  ハマダラカ属が媒介するとの事でしたが、現在、国内に生息する吸血蚊が宿主となる可能性は全くないのか、教えてください。

A1:  基本的には、マラリアを媒介する蚊、日本脳炎を媒介する蚊、等々決まっていますので、国内にいるその他の蚊が媒介することは考えられません。


Q2:  沖縄では放射線を使って不妊化したウリミバエを散布することでウリミバエを撲滅したという事例があったと思いますが、マラリア媒介蚊についても同様の研究がなされているということはないのでしょうか?(特殊な事例ですし、蚊とハエでは異なると思いますが)

A2:  構想としてはありますが、実際に有効であったという報告はないと思います。


Q3:  シナハマダラカが日本国内にいるとのことですが、この蚊はマラリア流行をおこすものですか。

A3:  媒介能力があります。ただし、一般的には比較的軽症の三日熱マラリアを媒介します。


Q4:  マラリア等は、厚生労働省等が主に対応すると思われるが、環境研としてどこまで提言(実現性)できるのか?

A4:  もちろん、厚生労働省でも研究は行われていますが、環境省としても地球温暖化との関連で研究を進めていますので、社会や行政への提言も今後行う予定です。


Q5:  一度マラリアにかかると、治療後も血液中に残ると聞きました。と言うことは、帰国者に経験者がいた場合、数年後に蚊にさされることで他人に感染することは考えられるのでしょうか?お教えいただければ幸いです。

A5:  きちんと治療すればマラリア原虫は血液中からいなくなります。ただ、”症状がなくなった”というだけでは、質問のようにかなり長期間血液中に残っていることもあります。実際、流行地域では、症状はほとんどない人でも血液検査をすると陽性の人はかなりいます。


Q6:  今、日本でマラリアの流行のきざしが現れたら、何人の患者まで病院は対応できるのでしょうか?

A6:  現在、マラリアの専門家あるいはマラリアに詳しい医師が少ないのが実情ですが、将来流行が現実のものになれば、それなりの対策がうたれ、マラリアに罹っても病院で見てもらえないということはありません。


Q7:  沖縄でマラリア抑制に成功した具体的理由は?

A7:  やはり、沖縄はマラリアが土着するには環境条件がギリギリだったのではないかと思います。それと、アメリカ軍が中心になって集中的な対策が打たれ、薬剤耐性マラリアの出現の余裕を与えなかったことが効果的だったと思われます。


Q8:  マラリアの感染・発症機構、免疫ができにくい原因は何なのでしょうか。

A8:  よくわかっていません。


Q9:  マラリアというものの有害性にのみ着目されていますが、有用性というものは一切ないのでしょうか?  例えば、マラリアがあることにより、人間にとってより有害な病気がおさえられているなど。そのような可能性を考えると、単純にマラリアをなくそうという活動に疑問を感じます。

A9:  マラリアは人を死に至らしめるリスクがある病気であることを考慮しますと、それに見合うだけの有用性は今のところ見つかっていません。


Q10:  日本の蚊はマラリアを本当に媒介しないのでしょうか?  この点が明確に話されていない気がします。

A10:  日本にいる蚊(シナハマダラカ:全国、コガタハマダラカ:南西諸島)はマラリアを媒介します。現在は、マラリア患者も少なく、媒介蚊にさされるチャンスはほとんどないため、流行が起きていないと考えられます。


Q11:  フィラリアは犬の感染病と思っていましたが、人間にとっても感染症なのですか。もし人間がかかっている地域の例がありましたら教えてください。お願いいたします。

A11:  人に感染するフィラリアもあります。現在も世界では1億人を超える患者がいます。日本でもかつては全国で流行がみられ、特に九州や沖縄では高率に見られましたが、1970年代に消滅しました。


Q12:  何故、ハマダラカには、マラリア原虫を媒介する能力があるのですか?  日常生活で攻撃してくる蚊とは、何がちがうのですか?

A12:  よくわかりません。マラリアではないのですが、アジアでデング熱を媒介する蚊(ネッタイシマカ)は、アフリカで黄熱病も媒介しますが、アジアでは媒介しないといった奇妙な現象もあります。


Q13:  マラリアには免疫ができにくいというお話がありましたが、なぜできにくいのかを教えていただきたいです。また、一度マラリア患者から吸血した蚊が直接他の人を吸血してもなぜかそのヒトはマラリアには感染せず、その蚊が分裂してからでないとヒトを感染させることをできないのか教えてもらいたいです。

A13:  よくわかりません。マラリア原虫は、それぞれのステージに適した環境(蚊の中、人の血液中、など)で発育していくようになっているためです。そのため、人の血液中で発育していくのに適したステージでないと、新しい人にマラリアを感染させることができません。