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第3セッション・第2講演「ごみ問題から物質循環のあり方を考える」

講演者(酒井伸一)による回答
>>講演者発表資料

Q: 諸外国と日本のゴミのリサイクル率や処理の方法等のデータを示してください。

A: 時間の制約もあり、講演では触れることはできませんでした。1990年代後半に欧米の研究者とデータを持ち寄ってまとめた比較データをご参考までに提供します。公開されるOHPの付録として掲載しておきました。


Q: 旧焼却施設ではごみ1トンあたり約1000μgとありましたが,これは具体的にどんな規模の影響を与える効力があるのでしょうか?

A: ゴミ1トンあたりのダイオキシン排出量、約1000μgがどの程度の影響を与えるか、とくにヒトや生物の健康に与える影響を答えることはできません。現在の焼却排ガス規制値0.1ngTEQ/Nm3もヒトへの影響がないレベルとして定められたものではなく、技術的に達成可能なレベルとして定められたものです。ちなみに、1997年のダイオキシンガイドラインでは、ゴミ1トンあたりの総排出量の目標値として、5μgと定められましたが、今回の旧施設1000μgはその200倍に相当する値です。


Q: ダイオキシンの発生源として「下水汚泥やコンポストの堆積場所」という内容がありましたが、その由来はどこからなのでしょうか?

A: ダイオキシン類の発生源には、都市ごみ焼却をはじめ、鉄鉱石やリサイクル物を用いる製鉄、非鉄プラントなどの燃焼由来の発生源、塩素系化学物質の生産使用に伴う化学物質由来の生成があります。こうした一次発生源から排出、移動、蓄積した結果、検出が容易に推察される例として下水汚泥やコンポストを紹介しました。これらの由来について、私自身は詳しくレビューしていませんので明確に答えることはできません。日本で詳しく研究された例は少なく、牧草地などへの再利用における懸念からドイツやスウェーデンなどで研究されたと理解していますが、おそらく廃水自体に含有されており、食品くずや糞尿なども一定の寄与をしていると思います。


Q: スウェーデンの母乳の有毒物質で増加していた物質とは何でしょうか?(スライドがよく見えませんでした。) またその物質の増加でどんな影響が実際にでているのでしょうか?

A: ポリ臭化ジフェニルエーテルです。この物質の増加の影響として、ヒトに目に見える影響が出ているかどうかはわかりません。


Q: 分解率が99%以上との報告があったと思います。最も悪い分解では1%弱がどこかへ行くとなると、環境基準等は守れるのでしょうか?

A; 今回報告した分解率99%以上というのは、ポリ臭化ジフェニルエーテルとポリ臭化ダイオキシン類に対してです。これらの物質に対しては、環境基準は定められていませんので、1%が環境排出された場合に環境基準を守ることができるかどうかは判断することはできません。環境基準を検討するにはまだまだ多くの研究が必要ですが、同時に技術的にどの程度の分解率を得ることができるか、そのときの費用はどの程度かかるのかなどを研究していく必要があります。あわせて、こうした物質に変わる難燃材料の検討も進められています。


Q: 毒性研究の最前線はどうなっているのでしょうか? 米国の取り組みは日本と比べてどのようですか?

A: 毒性研究の国際的な統一見解としては、国際保健機関(WHO)の環境保健クライテリアとして、1994年にはポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDEs)に対して、1998年にはポリ臭化ダイオキシン類(PBDDs/DFs) に対してまとめられています。正式名称は下記のとおりで、後者については、国立環境研究所の環境健康研究領域の遠山監訳の日本語訳も発刊(入手先:(社)環境情報科学センター;〒102-0074 千代田区九段南4-7-24;Tel.03-3265-3916/Fax.03-3234-5407)されています。
WHO: Polybrominated diphenylethers, Environmental Health Criteria, 162 (1994)
WHO: Polybrominated dibenzo-p-dioxins and dibenzofurans, Environmental Health Criteria, 205 (1998)
毒性研究の最前線という意味では、ポリ臭化ジフェニルエーテルに対して、内分泌撹乱性や甲状腺異状、神経毒性などの研究が行われているようです。こうした研究活動の国どおしの比較を行うことは簡単ではありませんので、日米でどうかということには答えられませんが、おしなべてスウェーデンなど欧州各国における研究が活発なようです。


Q: 第二次産業の知識産業化、製造部門の海外移動により、海外大量生産・大量輸入が急速に進むと見られます。この場合、リサイクルなどの静脈産業が育つのか、循環型社会が可能なのか、について疑問に感じます。現実のこれらの動向について予測検討されるべきだと考えます。ぜひ、研究課題として取り上げてください。

A: 貴重なご意見、ありがとうございます。国レベルの物質フロー勘定については、講演においても循環型社会形成システム研究室森口室長の国際共同研究の成果を紹介させていただきました。この延長に、ご指摘の問題が存在していると認識しており、今後、循環型社会形成推進・廃棄物研究センターの重要テーマとして取り組んでいきたいと思います。


Q: 
1) これらの研究と実際の政策とはどのくらいつながっているのでしょうか?(例えば循環型社会形成の法律と研究との関係)
2) 具体的な政策を聞きたかった。地方自治体がこの問題に取り組めるような手法、または実際に行ううえでのモデルとなるようなものを聞きたかった。全ての講演が抽象的で、具体策が示されていないと思いました。

A: 全ての講演が抽象的で、具体策がないとのご指摘については異論がありますが、循環型社会形成については具体策が乏しいとの指摘は真摯に受け止めたいと思います。まさに具体策を含めて研究しなければならないのですが、循環型社会研究については始まったところと言えます。環境に関する研究は、科学的研究の側面と政策貢献としての研究の両側面を併せ持つことが求められつつあります。ダイオキシン問題と廃棄物対策の関係などの研究においては、一定の政策的貢献をしてきたと考えていますが、今後、個々の研究成果が法制度をはじめとして一定の政策貢献を果たせるよう研究展開していきたいと思います。


Q: 産業廃棄物としての汚泥・動物糞尿は、その生命網へ返却することを義務づけたらどうでしょうか?

A: ご指摘のポイントは、動物糞尿や有機性汚泥などの有機性資源は、微生物からヒトにいたる生物系循環の環の中で取り扱ってはどうかと言う点にあるのかと思います。その理想像がどういうシステムで、それを阻害している現代社会の問題点と改善方策を明らかにしていく研究を行う必要があります。その際、最も重要な点は講演でも申し上げた循環型社会形成と化学物質コントロールの同時達成にあると考えています。


Q: 今後のゴミ焼却施設として「ガス化溶融炉」が注目されていますが、新たな化学物質が発生しこの物質による汚染が進むという研究者の指摘もあります。この点での研究もされていますか? またされていないのでしたら今後は取り上げてください。

A: まず、システム全体としてみたときのガス化溶融システムは、化学物質制御の点で一定の機能を果たしうることはできると言えるでしょう。しかし、不十分な制御時にはご指摘のような新たな化学物質発生を懸念する必要があるかもしれません。こうした状況をモニタリングできるような指標の開発を含めて、ガス化溶融システムの研究も進めていく所存です。


Q:大変参考になる数値や表、グラフが含まれていたプレゼンテーションだったのでできたらメールで送って欲しいと思います。こちらからも環境ニュースレターをお送りしますので。 

A:講演資料はホームページに公開されますので参考にして下さい。こうした双方向の情報交換の申し出は大切にしたいと思います。ありがとうございました。  


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