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衛星センサーILASによる
オゾン層観測

成層圏オゾン層変動研究プロジェクト 衛星観測研究チーム

概要
 1980年代半ばに発見された南極オゾンホールは、その後の世界的なフロンガス使用の規制によって、今後徐々に回復していくことが期待されています。しかし一方では、成層圏の寒冷化に伴いオゾン層回復の遅れも指摘されています。環境省では、オゾン層の監視とオゾン破壊メカニズムの解明に貢献するために衛星搭載センサーILAS(改良型大気周縁赤外分光計)と来年から観測開始予定のILAS-ll を開発しました。これら2つのセンサーは両極域での成層圏オゾンなどの高度分布を測定します。これまでにILASから分かった北極オゾン破壊の実態や、今後の衛星観測(ILAS-ll と SOFIS)の紹介をします。

ILAS/ILAS/ll の衛星観測

 ILAS/ILAS-ll は、「太陽掩蔽(えんぺい)法」という原理に基づいて高層大気を観測します。これは、人工衛星から見た日没・日出時に大気を透過してきた太陽光を連続的に分光観測することで、微量気体濃度の高度分布を導出するというものです。センサーを搭載した極軌道衛星は、地球を1日に約14周しますので、ILASは南極両半球高緯度域で、それぞれ14回の観測を行います。したがって、両極域でのオゾン層の時々刻々の変化を調べるのには好都合となっています。


ILASデータ解析の最新成果

 ILASは1996-1997年の冬期北極域の観測を行ないました。この冬の特徴は、成層圏気温が1990年代の中でも比較的低く推移したことと、極渦が観測史上最も遅くまで(5月上旬)持続していたことです。このような気象環境下において、オゾン破壊メカニズムに係わる興味深いいくつかの現象を定期的に把握することが出来ました。極域成層圏雲(PSC)の観測頻度の導出、衛星観測からでは初めての成果となる窒素酸化物の除去(脱硝過程)の定量化、及び流跡線解析を併用したオゾン破壊量の定量化などの研究成果が上がっています。


ILAS/ll から期待される成果

 ILASの観測はADEOS衛星の運用停止によって、約8ヶ月という限られたものであったために、オゾン層変動やオゾン層科学環境の経年変化、南極オゾンホールの形成・消滅過程、南極域でのオゾン減少速度の評価等、ILASデータを用いて取り組むはずであった多くの研究課題が残されました。環境省では、2002年2月に打ち上げ予定のADEOS-ll 衛星に搭載されるILAS-ll を開発しました。ILAS-ll の運用開始が待たれます。またILAS-ll では、ILASに比べると、高度分解能の向上や赤外の観測波長域の拡大がなされており、オゾン層破壊に大きく関係するPSCについて、その組成に関する情報をより精度良く推定できるものと期待されます。


SOFIS計画

 環境省では、2007年頃から観測運用開始予定の衛星搭載センサーであるSOFIS(傾斜軌道衛星搭載太陽掩蔽法フーリエ変換赤外分光計)の製作に着手しました。ILAS/ILAS-ll が観測対象としたオゾン層破壊関連成分に加え、いくつかの温室効果気体について成層圏から上部対流圏にまで観測範囲を拡大し、地球規模での大気環境モニタリングを継続していく予定です。



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