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アジア・太平洋地域の環境変化シナリオ

〜国連環境計画地球環境展望(UNEP/GEO3)をはじめとする国際的な取り組みへの参加〜

社会環境システム研究領域

 アジア・太平洋統合評価モデル(AIM:Asian-Pacific Integrated Model)チームでは、国連環境計画(UNEP:United Nations Environment Programme)が2002年開催予定の国際会議『リオ+10』に向けて執筆中の『地球環境の展望3(GEO3:Global Environment Outlook 3)』の中のアジア地域を中心とした将来の環境変化のシナリオ作りに参加しています。また、アジア・太平洋環境会議(エコ・アジア)に対しても同様に将来の環境変化のシナリオを提供してきました。ここでは、まず「シナリオアプローチ」について説明し、さらに我々が提供してきた環境変化シナリオを紹介します。

シナリオアプローチとは?

 近々に何をすべきかということを決める場合、その行動の結果起こることを推定し、それらを考量しながら決定しています。地球環境問題に関わる種々の事柄は、人々がこれまでに行ってきた各種の判断、行動や、今後行っていく判断によってあらゆる方向に展開する可能性があります。この中で適切な判断を行うためには、様々な知見や現状の把握を行い、それらを論理整合性をもって組み立て、将来に延長したり、場合によっては目標とすべき将来世界像あるいは望ましくない将来世界像から現状へ至る道筋を逆算し、その途中での各種判断の将来的含意を検討する必要があります。こうした手法がシナリオアプローチと呼ばれるもので、地球環境問題の解決に向けた政策決定や合意形成を行う際に数多くの有用な情報を提供しています。今回取り上げるGEO3もこうしたシナリオアプローチによるものです。GEO3では、表1のような4つのシナリオが提示されています。

表1 GEO3で想定されたシナリオ


シナリオを作成するために

 シナリオを作成するには、図1に示すように社会の変化を叙述的(定性的)に示す作業(ストーリーラインの作成)と数理モデルなどのツールを用いて将来のイメージを具体的(定量的)に記述する作業が必要となります。GEO3では、技術進歩や人口増加、環境政策、人々の意識の変化等を対象に4つの叙述的なストーリーを作成し、それらを数値化してモデルに入力し、経済発展や産業構造の変化といったことを具体的に計算します。さらに計算された社会経済の変化をもとに、環境への影響(温室効果ガスの発生や水資源需給の変化)を見積もります(図2)。こうした手順で得られた複数の将来世界像を比較し、どのような社会が望ましいのか、望ましい社会を実現するためには今どのような行動が求められるのかということを議論します。

図1 シナリオ作成に向けた作業


単位面積あたりCO2排出量
(高成長シナリオ/アジア・太平洋地域)


単位面積あたり工業部門 水需要量
(高成長シナリオ/タイ)


図2 4つのシナリオが表すアジア・太平洋地域の社会の変化とそれに伴う環境への影響

アジア各国の環境保全と経済発展の両立に向けて

 AIMで開発している叙述的なストーリーを具体的・定量的なシナリオとして表現するモデルは、アジア各国における環境政策立案においても重要な役割を担うことになります。アジアは急激な人口増加・経済発展を背景として21世紀前半の世界経済を牽引するといわれています。しかしながら、文化的・自然資源的多様性のため、その経済発展への道筋は国ごとに全く異なるものになりそうです。そのような観点から、各国独自の事情を最も良く知るそれぞれの国の政策決定者が、自身の手により自国の政策が地球環境に及ぼす影響を評価できるような「政策決定者参加型」のモデル開発を進めています(図3)。AIMチームでは、エコ・アジアのような国際的な場において議論を重ね、アジア全体の環境保全と経済発展の両立を目指して研究を続けています。

図3 アジア各国の環境政策のためのモデルとその利用

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