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環境問題に国立環境研究所が果たす役割

巻頭言

国務大臣環境庁長官 大島 理森 地球環境問題担当

 去る8月8日に国務大臣環境庁長官及び地球環境問題担当大臣を拝命いたしました大島理森です。

 今日の環境問題は,地球規模の広がりと将来の世代にわたる広がりを持つ人類共通の課題となっております。私自身も,内閣官房副長官を務めた時,サミットに出席して環境問題の重要性,その世界的な広がりを痛感いたしました。

 さて,政府は,このような環境問題に対処するため,平成6年12月に,21世紀半ばを展望した今後の環境政策の基本的指針として,環境基本法に基づく「環境基本計画」を策定しました。この計画においては,環境政策の長期的目標として「循環を基調とする経済社会システムの実現」,「自然と人間との共生」,「環境保全に関する行動への参加」,「国際的取組の推進」の4つの柱を置いていますが,これらの目標を達成するためには,裏付けとなる環境に関する研究が欠かせません。また,環境問題は,社会経済的事情や文化的な事情を背景としており,環境に関する研究においては,自然科学だけでなく,人文・社会科学を含めた幅広い研究が求められております。

 また,国際的取組の一つとして環境に関する発展途上国等との共同研究などによる環境協力がありますが,深刻な公害問題に対処してきた経験や技術を有する我が国の役割は極めて重要です。

 国立環境研究所は,今日まで,我が国の環境問題に係る科学研究の中核機関としての役割を果たしてきております。また,本研究所で行われている開発途上国等との国際的共同研究は,開発途上国で現に起こっている環境問題への対応ばかりではなく,開発途上国への技術移転に貢献しております。

 この9月11日に本研究所を視察させていただきました。研究施設も実に立派なものでありましたが,それ以上に,研究員の皆様の環境問題に対する科学的究明心の深さに感心いたしました。本研究所が,今後とも環境に関する研究についての各方面からの期待に応え,環境基本計画の実現に向けてその持てる能力を十分に発揮するとともに,衛星による地球環境観測を始めライフサイクルアセスメントやバイオレメディエーションなど,新たな課題に対しても常に積極的に取り組まれることを期待しております。

執筆者プロフィール:

自民党衆議院議員(青森1区),元内閣官房副長官(政務)