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乙間 末広

 地球温暖化原因物質であるCO2の人為的な排出量はわが国では石油(エネルギー)消費量とほぼ比例している。そして、石油消費量は廃棄物量にも影響を与えている。このことは、オイルショックのため、石油消費量が減った年の翌年には家庭から出る一般廃棄物量が確実に減少していることからも分かる(図参照)。過剰なエネルギーの投入はCO2排出量と廃棄物量の双方を増大させ、逆に、省資源・省エネルギーはこの双方の解決につながる。

 わが国の一般廃棄物量は1日1人当たり約1.1kgである。さらに、直接われわれの目には触れていないが、経済・社会活動を支えている産業部門からの廃棄物量は一般廃棄物の7倍にも達している。すべての物質、製品は生産、輸送、使用(消費)、廃棄のプロセスを経て一生を終える。廃棄物の多さはこの物の流れの大きさを示しており、大量消費、大量廃棄の構図を物語っている。

 人為起源のCO2排出量を抑制するためには、膨大な物量の「生産から廃棄まで」、「揺り篭から墓場まで」のライフサイクルをトータルに解析、評価し、有効な省資源・省エネルギー対策を講ずることが必要であり、その解析手法の確立と対策効果の評価に取り組んでいる。もちろん、ここでの対策が廃棄物量を大幅に削減し、廃棄物問題解決の新たな進展につながるという、一石二鳥を期待していることは言うまでもない。

(おとま すえひろ、社会環境システム部資源管理研究室長)

図  一般廃棄物量の経年変化