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2016年9月30日

バックグラウンド大気の観測と二酸化炭素濃度の変動

コラム7

図15 平成25 年の月ごとの平均の二酸化 炭素濃度日変動の様子(a)波照間ステーション
図 15 平成25 年の月ごとの平均の二酸化 炭素濃度日変動の様子(b)落石岬ステーション

図15 平成25年の月ごとの平均の二酸化炭素濃度日変動の様子(a)波照間ステーション(b)落石岬ステーション

 1日の間に、二酸化炭素濃度は変化するものなのでしょうか?この非常に基本的な問いが、実は大問題なのです。私たちは、観測している大気が、地域の代表であってほしいわけですから、なるべくすぐ隣に車や工場など二酸化炭素の人為発生源がない場所を選びます。しかし、実は工場などがなくても植物の呼吸などに代表されるように自然起源発生源は地上にあります。

 通常、観測点周辺の発生源の影響は濃度変動に現れますが、特に1日の変化に現れます。夜から朝に向けて地上付近が冷えることによって接地逆転層と呼ばれる空気の層ができ、地表から発生したものが上空に広がっていかずに地表付近の大気に蓄積する現象があります。こういった地表付近の発生源の影響を防ぐには、接地逆転層より高いところからよく混ざった代表的な濃度(バックグラウンド濃度)の大気を採るか、接地逆転層のあまりできない場所を選ぶか、二酸化炭素の発生・吸収量が少ない場所を選ぶかということになります。

 波照間と落石岬での月ごとの1日の平均の二酸化炭素濃度変化を見てみると、図のようになります。波照間の場合は、どの月でも1日の変化が1ppm以内と非常に小さいことから、地面からの影響がかなり少ない理想的な場所と言えます。これはステーションが海岸に面していることに加えて、選んだ波照間島という島の大きさが直径5km程度と小さく周りが海であることが功を奏している結果だと思われます。台風や塩害の心配はありますが、場所としては非常に良いサイトです。

 落石岬の場合は、岬の先端に位置しており、高さ51mのタワーから大気を採取しているので、良い場所であると考えられ、実際、冬季から春季の日変化は波照間と同等であることがわかります。しかし6~10月の夏~秋季の間は風速や接地境界層の高さなどが関係し、夜には陸の影響が少し出る場所のようです。その影響は少ない場合もありますが、厳密なバックグラウンド濃度として用いる場合は日中のデータを選ぶなど工夫する必要があります。

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