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コラム「VOCとは」

 VOCはVolatile Organic Compoundsの略で,揮発性有機化合物のことです。大気中にあるベンゼンやホルムアルデヒドなどの有機化合物のうち沸点が50℃〜260℃(WHO基準による)の物質の総称で,NOXとともに光化学大気汚染をもたらす主要な原因物質ですが,その種類は100種類以上もあり,中には発がん性など人体に有害な影響を及ぼすものも多く,最近ではシックハウス症候群の原因物質としても知られています。

 VOCは,日本ではNMHCとして捉えられています。NMHCとは,水素(H)と炭素(C)からなる炭化水素(HC)の中から,光化学反応性が乏しいメタン(CH4)を除いた炭化水素の総称です。NMHCには環境基準が設定されていませんが,光化学大気汚染対策としての指針値があります。なお,測定技術上NMHCにはアルデヒド成分などの含酸素物質は含まれていません。含酸素物質を含めた揮発性有機化合物全体をVOCと呼びます。

 環境省では「有害大気汚染物質」の中で,特に優先的に対策に取り組むべき物質(優先取組物質)として22種類をリストアップしています。そのうちVOCに関しては,トリクロロエチレン,テトラクロロエチレン,ベンゼンの3物質について環境基準が定められています。また,トリクロロエチレンとテトラクロロエチレンに関しては,早急に排出規制を行わなければならない物質として,排出基準が定められています。

図:人為起源VOC発生源の分類例