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廃棄物の高度な地域熱利用のための技術・社会システムに関する研究(平成 30年度)
Study on technologies and social systems for efficient utilization of heat recovered from waste

予算区分
BA 環境-推進費(委託費) 3-1709
研究課題コード
1719BA009
開始/終了年度
2017~2019年
キーワード(日本語)
廃棄物,エネルギー回収,産業,低炭素
キーワード(英語)
waste,energy recovery,industry,low carbon

研究概要

 国内では、廃棄物からのエネルギー回収は、焼却発電が中心であった。発電効率向上のための技術開発や、大規模化が行われてきたが、その効率は20数%に留まる。エネルギーの総合効率向上のため、熱利用の重要性が指摘されてきたが、近年ヒートポンプが給湯分野でも高効率化して競合する現在、熱利用においてもエネルギーの質的な効率向上、すなわちエクセルギー効率の向上が求められる。効率向上による化石燃料代替量の増加は、経済的なメリットをもたらし、様々な地域への普及や安定運営を後押しする。

 上記の目的を達成するために、以下の3つのサブテーマで検討を行う。
1. 廃棄物からのエネルギー回収を最大化する技術システムと評価
 エクセルギーを参照しつつ、実用的な評価体系を構築して有効な技術を提案する。また、廃棄物の高効率利用を担保する評価手法として、資源のライフサイクル分析(通常は、製品のライフサイクル分析)を構築し、全体の最適に繋がる対策を立案する。
2. 廃棄物の高度な地域熱利用を推進するための社会インフラ・制度
 サブテーマ1で検討する廃棄物焼却熱の高度利用の技術システムを実現する社会インフラ・制度を検討するため地域特性別の費用便益分析シミュレーションを行い、特定地域においてはより詳細なモデル分析を行うことで、実行力の高い施策を検討する。
3. 人口分布と産業分布を踏まえた焼却施設等の最適立地
 将来の人口分布、産業の立地、生物多様性保全、市民参画等から、廃棄物の収集、焼却処理と、エネルギーの販売に係る費用・便益が最適となる、焼却施設の規模と配置について提案する。

 地域特性別のエクセルギー効率の高いシステムの提案は、廃棄物政策に重要であるとともに、省エネだけではこれ以上のCO2排出削減が難しい産業の低炭素化を進め得る点で、気候変動の緩和研究としても重要である。

研究の性格

  • 主たるもの:技術開発・評価
  • 従たるもの:政策研究

全体計画

廃棄物を中心とする地域熱利用事業の導入に直結し得る、実現性の高い技術システムの詳細提案と、その導入と持続的運営を支援する社会インフラや制度、ビジネスモデルの検討を行う。具体的には、以下のサブテーマを実施する。

1:廃棄物からのエネルギー回収を最大化する技術システムと評価
 国内でも実証試験等が進むメタン発酵施設からの地域熱供給、韓国等で事業化されている焼却炉から産業への蒸気供給、欧州で検討が進む第4世代の低温地域熱供給について、熱力学的観点を含む技術的分析を実施し、効率的な技術システムを抽出する。これらの要素技術とその組み合わせを評価可能なモデルを作成し、システム別に化石燃料代替効果等を評価して、地域に相応しいシステムを特定する。更に、技術革新が進む社会において、廃棄物が将来に渡って効率的に利用されるシステムとなることを担保するために、資源のライフサイクル分析を行う評価体系を提案し、評価を実施する。
2:廃棄物の高度な地域熱利用を推進するための社会インフラ・制度
 廃棄物の発生規模や他のセクターとの地理的近接性などの地域特性に応じた廃棄物からの高度なエネルギー回収技術の複合システムの費用便益を明確にし、地域熱利用の有効利用方法を提示する。また、熱供給先で求められる要件も含め実現のために必要な社会インフラ・制度を明らかにし、ステークホルダーごとの役割を明示する。
3:人口分布と産業分布を踏まえた焼却施設等の最適立地
 人口減少や廃棄物処理の効率化の要請から、廃棄物処理施設の広域化が検討されている。既存の広域化計画とも照らし合わせながら、本申請課題で提案する地域熱利用について、その適用可能性を検討する。更に、あり得る効率的なエネルギー回収の選択肢を実現するための、焼却施設等の最適立地の提案も行う。1、2のサブテーマの検討結果を踏まえて焼却熱利用の技術、社会システムを具体化した上で、ケーススタディ地域において将来計画を立案する。

今年度の研究概要

1:廃棄物からのエネルギー回収を最大化する技術システムと評価
 産業での安定的な熱利用と、第4世代地域熱供給の技術的課題を整理した上で、供給先での熱利用に必要となる熱交換装置、供給安定化のためのアキュミュレータ等の蓄熱装置を組み込んだモデルを作成し、蒸気や温水供給により代替される電力、燃料とそれに伴うCO2削減効果を評価する。
 また、廃棄物やバイオマスの利用は部分最適に陥りがちだが、社会全体の低炭素化に最も効率的な方法であることを確認するため、資源のライフサイクル分析を提案し、評価手法として取り入れる。

2:廃棄物の高度な地域熱利用を推進するための社会インフラ・制度
 規模別に高度利用技術システムを実現する社会インフラ・制度を産業・民生のそれぞれで設計し、特定地域(北九州市など)での費用便益分析による評価を行う。特に、評価に際しては、エクセルギー効率・費用便益のステークホルダー間の配分に着目する。また、設計したデータ収集手法を活用し、自治体の地域特性データベースを構築する。

3:人口分布と産業分布を踏まえた焼却施設等の最適立地
 人口や産業の空間分布を踏まえて、サブテーマ1、2で検討される可能なエネルギー回収の選択肢を考慮した上で、焼却施設やメタン発酵施設の望ましい立地について検討する。現状の施設立地の範囲で検討する保守的なケースと、産業団地の空き用地の利用などを柔軟に検討する革新的なケースを扱う。

外部との連携

東京理科大学、東洋大学

課題代表者

藤井 実

  • 社会環境システム研究センター
    環境社会イノベーション研究室
  • 室長
  • 博士(工学)
  • 化学工学,システム工学
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担当者