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アジア太平洋域における温室効果関連物質とその収支に関する観測ネットワーク構築に向けた実行可能性調査(平成 27年度)
A feasibility study for the development of an observation network targeting greenhouse gases and related materials and their budget in the Asia-Pacific

予算区分
AI 研究調整費
研究課題コード
1515AI003
開始/終了年度
2015~2015年
キーワード(日本語)
温室効果関連物質,観測ネットワーク,アジア太平洋
キーワード(英語)
greenhouse gases and other related materials, observation network, Asia Pacific

研究概要

国立環境研究所(以下 NIES)は、これまで20年以上にわたり、環境研究の基盤整備(地球環境の戦略的モニタリング等)、研究プログラム(地球温暖化研究プログラム、東アジア広域環境研究プログラム等)、その他の関連研究課題により、国内及びアジア太平洋域において、温室効果ガスや大気汚染物質に関わる長期的な観測研究を実施してきた。近年、衛星による全球規模での温室効果関連物質の観測技術が著しく進歩し、数値モデルを使ったそれらの動態把握や地表フラックスの高精度評価が強く求められている中、世界の中でも人為起源汚染物質の増加が深刻でありながら観測空白域であるアジア太平洋域において、温室効果ガスや大気汚染物質に関わる長期的かつ品質保証された実測データの整備と、利用者に向けた流通促進を行うしくみの整備が緊急に必要とされている。
欧州では、EUのプロジェクトとして、温室効果ガスの観測基盤であるIntegrated Carbon Observation System (ICOS) Research Infrastructure、雲・エアロゾル関連観測の基盤である Aerosols, Clouds, and Trace gases Research InfraStructure Network (ACTRIS) などが、2013年頃までに、それぞれ約20年の包括的な長期観測を行う目標を設定して活動を開始した。アジアでは、欧州のような国を超えた観測基盤整備は進んでおらず、日本、中国、韓国、台湾、インド、マレーシアを始めとする国や地域の研究機関が独自の関連する観測を実施しているが、それら機関間の情報流通は研究者個人のレベルに留まっている。また、Global Carbon Project (GCP)は、Regional Carbon Cycle Assessment and Processes (RECCAP) 等で主にインバージョン解析に基づく地域別のCO2とCH4の収支評価を先導しており、NIESの研究者も参加しているが、その精度向上に大きく貢献できるはずのアジア域での観測データの整備と投入は十分には進んでいない。
このような背景の下、本研究では1年間のfeasibility studyとして、まず、アジア太平洋域においてNIESの主導により、もしくはNIESが協力して実施している温室効果関連物質やその収支に関する長期観測の情報を収集し、国内外に公開可能な情報として整備する。次に、NIESの研究者とその海外機関の協力研究者が中心となり、これらの観測点を基に分野ごとのネットワークを構築すると同時に、今から5〜10年程度の間に、品質保証された実測データの整備と流通を著しく促進するために、NIESにどのような機能を備えるべきかについて検討する。最後に、NIESの次期中期計画や競争的資金の申請計画にその成果を反映する。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:モニタリング・研究基盤整備

全体計画

アジア太平洋域においてNIESの主導または協力により実施している既存の観測点を基に、温室効果関連物質とその収支に関する観測ネットワークを構築するための計画を策定し、実行可能性を調査する。既存の観測点情報として、NIESが基盤整備として運営している国内観測点のみならず、国際共同研究として相手国で実施中の観測点情報も調査する。
例えば、温室効果ガスの広域での動態把握やインバージョン解析に利用できる観測データを増やすため、NIESの研究者がアジアの研究機関に協力し、品質保証されたデータの蓄積に貢献しているケースが増えていることから(アジアに約10地点程度)、その長期的な品質管理とデータ流通促進の計画を策定する。陸域の温室効果ガスフラックス(群落上及び土壌からのフラックス)については、NIESが事務局を務めるAsiaFluxが観測点情報(約100地点)を整備しているほか、NIESの研究者が土壌呼吸の多点観測を実施していることから(約20地点)、その観測データを他分野(特に陸域モデル開発等)にも利用しやすく流通させる方法を計画する。
大気汚染物質については、辺戸岬観測ステーションを中心として広域大気汚染現象解明に向けた総合的な観測が行われ、UNEP Atmospheric Brown Cloud (アジア褐色雲プロジェクト)にも参加してきた経験を活かし、その他の観測点も含め、観測の長期的継続とデータ流通促進の計画を策定する。また、国環研ライダーネットワークや東アジア酸性雨モニタリングネットワーク(EANET)との連携の可能性を検討する。
地球観測における情報流通促進については、地球温暖化観測推進事務局(OCCCO)がこれまで主に国内向けにその役割を担ってきたが、特にアジアにおける近年の観測点と観測項目の拡大を把握するには至っていない。そこで、本課題では次期中期計画におけるOCCCOの役割も含めて必要な体制を検討する。データ流通促進については、地球環境研究センターが「地球環境データベース」にて基盤整備等のデータ発信に貢献しているが、個々の研究者がもつ観測データの収集まで支援できる人的資源は不足している。そこで、NIESが効果的な情報発信を長期的に実施するために必要な体制を提案する。
以上のように、温室効果関連物質とその収支観測に関する情報を分野ごとにとりまとめ、アジア太平洋域における観測ネットワークを構築し情報発信する上でNIESが実施すべき内容を計画し、実行可能性を調査する。その成果を次期中期計画における各種事業や研究計画に反映する。

今年度の研究概要

同上(単年度のため)

課題代表者

三枝 信子

  • 地球環境研究センター
  • 副センター長
  • 博士(理学)
  • 理学 ,地学,生物学
portrait

担当者