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放射性物質に汚染された廃棄物及び土壌等の安全かつ効率的な処理処分等技術・システムの確立等に関する調査研究(平成 25年度)
Research and study for safe and effective disposal of radioactive contaminated wastes

予算区分
BY 環境-委託請負
研究課題コード
1313BY009
開始/終了年度
2013~2013年
キーワード(日本語)
放射性物質,廃棄物処理,焼却,埋立
キーワード(英語)
radioactive material, waste management, incineration, landfill

研究概要

東日本大震災からの復旧・復興にあたり、放射性物質に汚染された災害廃棄物への対応や環境中に拡散した放射性物質への対応を着実かつ早急に行うことが、喫緊の課題となっている。
 特に、放射性物質に汚染された廃棄物及び土壌等に関しては、平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法の枠組みの下、国(環境省)が主体となった処理、除染を進めていくこととしているが、今般のように事故由来放射性物質によって一般環境が広く汚染され、放射性物質に汚染された廃棄物や土壌等が多種多量かつ広範囲にわたり発生する事態への対処は我が国で経験がなく、また、その対処に必要となる科学的知見が極めて不足している状況にある。
 本業務は、放射性物質により汚染された廃棄物及び土壌等の処理処分・除染を迅速かつ着実な推進に資することを目的とし、放射性物質汚染廃棄物・土壌等の処理処分等技術・システムの確立等に関する各種調査研究を実施するものである。

研究の性格

  • 主たるもの:行政支援調査・研究
  • 従たるもの:技術開発・評価

全体計画

1.汚染廃棄物等に係る放射性物質の基礎物性・挙動等の解明
2.汚染廃棄物等の安全・効率的な処理処分等技術の開発・高度化・評価
(1)中間処理
(2)再生利用
(3)最終処分(保管・貯蔵含む)
3.汚染廃棄物等に係る測定・モニタリング技術・手法の開発・評価
4.汚染廃棄物等に係るフロー・ストックの把握及び処理処分等システムの最適化

今年度の研究概要

1.汚染廃棄物等に係る放射性物質の基礎物性・挙動等の解明
・放射性物質に汚染された廃棄物及び土壌等に含まれる放射性物質の蒸気圧データ等の物性を収集しつつセシウム塩の蒸気圧測定を行うとともに焼却灰からの放射性セシウム塩の揮発性を測定する。また、焼却等施設にマルチゾーン平衡計算を適用して、施設調査結果との比較により計算結果の妥当性や組成の影響を分析、評価する。
・仮置場から中間貯蔵施設移設までの期間における植物体や土壌の濃度・溶出特性に応じた適切な保管方法の構築を目的として、シリアルバッチ試験、カラム試験等を実施するとともに、現地保管において周辺環境影響を低減するための管理方法について提案を行う。
・焼却灰や汚泥、津波堆積物、芝生混じり土壌等を対象に浸出水を供与液としたバッチ吸脱着試験を行い、放射性セシウムの吸着を阻害する化学物質成分やコロイド、腐敗の影響を把握する。また、吸着試験後の土壌等を用いて、純水、海水、実浸出水を溶媒とした長期溶出試験を実施し、長期溶出性を明らかにし、逐次抽出試験との関係解析から長期溶出性を簡易的に見積もる手法を検討する。
・カラム吸脱着試験を行い、発生するみず道を算定する手法を開発するとともに、みず道に及ぼす粒度、締固め密度の影響を明らかにすることで、各種土壌等の吸着性・長期溶出・みず道の影響を加味した土壌吸着層の長期性能を予測できる数理モデルを提示する。

2.汚染廃棄物等の安全・効率的な処理処分等技術の開発・高度化・評価
・可燃性物質を主体とした廃棄物・土壌に関し、放射能による汚染状況が異なる地域(福島県内及び周辺地域等)で、実焼却施設系内での物質・汚染挙動データ(固体試料放射能濃度、設備放射線量、排ガス、設備保守実績等)を幅広く収集解析し、廃棄物処理施設における設備構成上の特性に応じた放射線被ばく低減(人、設備、減容化物等)に必要な知見を得る。
・溶融等の高温加熱処理に関する基礎特性を幅広く明確にするため、実験室規模の装置系を用いて、放射性物質汚染廃棄物・土壌等に対する高温熱処理技術の技術的検討を行う。この際、処理対象廃棄物の種類(主灰、飛灰、土壌等)、処理温度、雰囲気(酸化または還元条件に係る雰囲気)等の実験条件を幅広く変化させる。特に、土壌・底質と各種可燃物の混合試料に対する処理性に重点を置き、温度・雰囲気等が混合試料の溶融性、セシウムの揮散性等に与える影響を調査・解析する。
・模擬土壌(放射性セシウムに汚染された草木類を含む土壌を模擬した試料)を実験試料として、実用規模パイロットプラントで溶融処理実験を行い、溶融プロセスでのセシウムの分離率、排ガス処理系でのセシウムや塩類の挙動を把握する。また、回収ダスト成分、セシウム分離のための揮発剤の循環利用性について解析・評価する。
・セメント固化による焼却灰の重金属等の溶出抑制機構を把握するため、コンクリート中へのRI浸透実験により、セシウム再移動の評価を行う。また、セシウムを含む各種有害元素の溶出特性を評価し、不溶化材、固化材の水和反応を含め分析・解析する。
・前年度作成した供試体の追跡評価、促進試験の加速倍率推定のための試験を実施し、所定期間でのアルカリ骨材反応の抑制が検証できる試験方法を検討するとともに、フライアッシュと膨張材によるひび割れ抑制の効果検証を行う。また、コンクリート中のセシウム移動予測の高度化について、前年度の基礎解析をベースに骨材の影響を加味した解析により、多様な飛灰での検証を行う。
・除染廃棄物等の焼却飛灰を含め、飛灰洗浄を適用した際のシナリオ構築と要求性能の精査を行い、吸着剤等濃縮回収物の放射能濃度の制御方法を確立する。さらに、飛灰の洗浄・不溶化処理技術の開発を行い、既存管理型処分場の活用について検討を行う。また、浸出水処理施設について、現場における放射性セシウム対策の事例をまとめ、有効性、効率性等の評価を行う。

(2)再生利用
・木くず混入土砂の有効利用に関する実証試験を実施し、津波堆積物の有効利用促進に向けた地盤定数や環境安全性を把握するとともに、災害廃棄物の二次処理工程(破砕選別)の最適化や災害廃棄物由来バイオマスの利活用に関する検討を行う。これらを通じて、災害廃棄物再生資材の物理特性、力学特性、環境安全性を評価し、復興工事への適用性を明らかにする。
・災害廃棄物や津波堆積物に加え、他地域で生じた発生土等の建設副産物やスラグ等の産業系副産物の発生実態を調査し、復興地域での必要資材量と災害廃棄物由来資材量の比較、輸送によるコスト・環境負荷の算定、地域間の流通等の制約条件の整理、利用時の長期安全性評価手法の検討等を行う。これらを通じて、災害廃棄物再生資材と建設・産業系副産物の合理的な利用方法やこれらの混合利用による力学特性・環境安全性改善効果を評価し、復興工事への適用性を明らかにする。

(3)最終処分(保管・貯蔵含む)
・管理型埋立や中間貯蔵における水収支を評価するための涵養量設定等に関する材料パラメーターの評価、遮水シート等の放射性セシウムや有害物質に対する遮蔽性能評価、保管場の評価に向けた覆土や通気性遮水シートの性能評価等を実証し、保管・貯蔵・処分技術に対する設計パラメーターを取得する。
・除染廃棄物等を中間処理、中間貯蔵時のグルーピングの観点から分類し、長期的挙動と有機物分解特性、発熱挙動、コロイド移動、中間処理技術という観点から室内実験や実証試験を実施し、各除染廃棄物等における放射性物質の挙動を解明する。
・陸上埋立、海面埋立、管理型処分場、安定型処分場、指定廃棄物埋立における放射性セシウム挙動将来予測モデルの数値シミュレーションを一般化し、より簡易に安全性が評価できるモデルを構築する。また、施工品質管理・保証を意識した埋立技術評価システムを提案する。

3.汚染廃棄物等に係る測定・モニタリング技術・手法の開発・評価
・測定の目的に応じ、線量率や核種濃度を検出するための機器や手法の選択について最新の情報知見を取りまとめるとともに、試料の濃度も考慮し、適切な分析方法(試料調製方法等)のあり方について検討する。また、スクリーニング的な線量測定から対象媒体の放射能濃度を合理的に推定する手法の検討も行う。
・廃棄物・資源循環プロセスについて、例えば既定的な調査(スポット調査)に加え、非定常時の放射性物質の挙動や搬入・排出媒体の時系列変動を調査し、同プロセスにおける測定モニタリング管理手法の開発・適用に向けた検討を行う。
・天然放射性物質を含め優先度を考慮しつつ、廃棄物・循環資源媒体における分析手法の基礎検討と適用を継続する。また、事故前後等の時系列試料についても分析評価を試行し、リスクコミュニケーションの基礎資料を得る。

4.汚染廃棄物等に係るフロー・ストックの把握及び処理処分等システムの最適化
・一般廃棄物焼却灰、下水汚泥、浄水発生土、産業廃棄物・建設副産物・農林水産業残さ、災害廃棄物、除染廃棄物等の調査分析データに基づき、環境中から社会システムへの放射性物質の移行挙動や処理プロセス等における分配挙動等のパラメータ化、放射性物質の物質フロー・ストックモデル作成、地域ごとの流入・移動・蓄積量の計算・可視化を試行する。
・福島県外の行政情報(マニフェスト実績報告等)やアンケート・ヒアリング調査、現地調査により、放射性物質に汚染されたおそれのある廃棄物・副産物のフローデータの収集・集計を進めるとともに、産業廃棄物等の放射性物質汚染レベルの実態把握を進める。
・東北三県における災害廃棄物の発生量実績量を収集し、発生源単位の被災地の被災状況や土地利用等との関係を把握する。

関連する研究課題

課題代表者

大迫 政浩

  • 資源循環・廃棄物研究センター
  • センター長
  • 工学博士
  • 工学
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担当者