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湖沼のブラックボックス負荷「底泥溶出」の定量評価に関する研究(平成 25年度)
Study on quantitative evaluation of a black-box-type autochthonous loading in lake environments−Benthic fluxes from sediments to the water column

予算区分
BA 環境-推進費(委託費) 5-1304
研究課題コード
1315BA004
開始/終了年度
2013~2015年
キーワード(日本語)
湖沼,底泥溶出,溶存有機物,栄養塩
キーワード(英語)
lake, benthic flux, dissolved organic matter, nutrients

研究概要

近年、比較的に浅い湖沼において、難分解性と考えられる溶存有機物(DOM)の漸増とアオコの大発生が頻繁に報告されている(霞ヶ浦、宍道湖、八郎湖等)。一方、世界各地の湖沼でもDOM濃度の上昇とアオコの大発生が次々と報告されている。浅い湖では有機物と栄養塩の供給源として底泥溶出の寄与はとても重要である。しかし、底泥溶出を長期に渡ってモニタリングしたとする報告例は国内外で皆無である。加えて、溶出メカニズムに関する科学的知見は極めて乏しい。国内外で底泥溶出の実態を的確に把握することが強く求められている。
 霞ケ浦ではDOMの難分解性化が急激に進む一方で、リン濃度が上昇している。2006年以降、大規模なアオコが発生しCOD濃度が急上昇している。底泥溶出負荷の上昇が主原因と見なされている。これまでの調査で、底泥溶出量は、年間を通した底泥での物質循環、微生物群集変動や泥温変動によって規定されると考えられる。溶出量と底泥の化学組成、微生物群集等の関係を評価すれば、溶出メカニズムや湖水微生物生態系(群集構造と生産)と溶出の関係も評価できるだろう。
 本研究では,霞ヶ浦等を対象として、有機物、窒素およびリンに係る底泥溶出量を定量算定する、フィールド調査や室内実験等を駆使して底泥溶出メカニズムを明らかにする,モデル解析により溶出寄与を定量評価する,さらに、溶出に係る効果的な対策シナリオを構築・提言することを目的とする。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:応用科学研究

全体計画

底泥では酸化還元境界深度が年間サイクルで顕著に変動して、結果、底泥溶出は泥温、有機物分解性、微生物種組成および鉄、イオウ等に関係すると着想した。具体的な研究仮説は:(1)冬季に電子受容体(溶存酸素、硫酸イオン)が底泥に侵入、春・夏季に消費、結果として溶出量が季節変動。(2)有機物、窒素、リンの溶出メカニズムは異なる。(3)浅い湖沼では気温上昇の影響は冬季の水温・泥温に現れる。
 仮説を検証するため、霞ケ浦等で底泥コアサンプル等を採取して、間隙水の有機物、窒素、リンの鉛直濃度プロフィールから溶出フラックスを算出して、その季節的・地点別変動を明らかにする。さらに、溶出制御因子として、有機物分解性、湖水・底泥微生物群集、底泥・間隙水中の物質濃度・組成、底泥温等に着目する。当該因子に係る詳細なデータや室内実験結果の解析から、溶出メカニズムを明らかにする。さらに、湖沼モデル解析によって溶出由来の寄与を算定する。最終年度には、溶出に係る効果的な対策・管理の在り方について提言を行う。

今年度の研究概要

霞ヶ浦3地点で有機物、窒素、リンの間隙水中の深さ方向濃度プロフィールから底泥溶出量(フラックス)を定量的に算定する。さらに、底泥溶出に関係すると推察される物質の濃度・組成を分析して、溶出フラックスと当該物質濃度や組成との関係を検討する。
 熱収支モデル解析のための入力データを収集する。当該モデルに底泥層を組み込む。湖沼モデルに関しては、生態系モデルを組み込み、有機物、窒素およびリンの収支が取れるモデルの開発を目指す。
 年度末に、研究の方向性に係る適切な変更について検討する。

外部との連携

共同研究者:土屋健司(創価大学)、川崎伸之(マレーシア・セランゴール大学)

関連する研究課題

課題代表者

今井 章雄

  • 企画部
  • フェロー
  • Ph.D. (土木工学)米国テキサス大学オースチン校
  • 工学,化学
portrait

担当者