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2017年2月9日

先端環境計測研究プログラム(先導研究プログラム)
平成23~27年度

国立環境研究所研究プロジェクト報告 SR-121-2016

表紙
SR-121-2016 [16.9MB]

 科学技術の急速な進歩に伴う社会経済活動の発展は、多くの人口を支え豊かな暮らしをもたらした一方、有害化学物質などが放出され、直接/間接に人や野生生物の健康に悪影響を及ぼすことが懸念されています。そのため、温暖化防止のための気候変動枠組み条約や残留性有機汚染物質(POPs)に関するストックホルム条約、水銀に関する水俣条約などの国際条約が結ばれました。国立環境研究所でも多くの関連研究が進められる中で、変化し続ける人間活動の環境への影響をより早期に見逃しなく捉えて適切な対応をとるため、様々な環境問題への取り組みの基礎となる計測技術のさらなる高度化を図ることが必要と考えられます。


 本研究では、汚染の状況や環境への影響をより迅速、高感度に見逃しなく把握するために、(1)多次元分離による化学物質の網羅分析手法の開発、(2)環境変化や環境動態を解明するための新たな環境トレーサーの開発、(3)照射光、検出光の多波長化による遠隔分光計測の高度化、の3つの課題を設定して、関連研究とも連携を深めながら研究を進めました。


 課題(1)では、網羅分析を最終目標として、段階的に有害化学物質の迅速一斉定量法、有機ハロゲン化合物の一斉抽出分析法、数百以上の化学物質の一斉分析法とそのためのソフトウェアなどを開発しました。課題(2)では、水銀や炭素の同位体、人為起源や生物起源の揮発性有機炭素などを環境トレーサーとする新たな手法の開発を進め、生物起源のヨウ化メチル濃度と太平洋十年規模振動との間によい相関を見出しました。課題(3)では、ハイパースペクトルセンサ—やライダーの研究開発を進めて、森林の光合成活性評価法や大気中微粒子の種類別の定量方法の開発などを行いました。


 本研究の成果は、衛星搭載センサーの設計にも役立てられています。今後も環境研究の根幹となる環境計測、活用法の発展に資するものと期待されます。


(環境計測研究センター 柴田 康行)

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