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木漏れ日便り

 日本には約600種,世界では1万種ものシダがあります。研究所の構内では,ワラビやゼンマイのほか,ゲジゲジシダ,ハリガネワラビ,コウヤワラビ,イヌワラビなど全部で15種ほどのシダが見られます。春先に土筆(つくし)を出すスギナもシダの仲間です。写真中央のフユノハナワラビ(「冬の花わらび」)は,花に見立てられる部分(胞子をつける)と普通の葉とが途中から枝わかれした変わった構造をしています。「冬の」というように,秋に葉を出してそのまま冬を越します。なお,○○ワラビという名前のシダはたくさんありますが,いずれもワラビの親戚というわけではありません。

 多くのシダは,葉の裏に胞子を包み込んだ胞子嚢(ほうしのう)をつけます。その形は種類によって様々です。シダを見かけたら,ためしに葉を裏返してみてください。

 シダの祖先は4億5千万年ほど前に生まれました。それに比べれば人類の誕生などごく最近のことです。秋晴れの日,足もとに茂る大先輩の歴史に思いをはせながら木漏れ日の中を散歩するのも一興です。

(竹中明夫)

写真: ミドリヒメワラビ(左上),イヌワラビ(左下),フユノハナワラビ(中央),イヌワラビの胞子嚢群(右上),ホシダの胞子嚢群(右下)
写真 : ミドリヒメワラビ(左上),イヌワラビ(左下),フユノハナワラビ(中央),イヌワラビの胞子嚢群(右上),ホシダの胞子嚢群(右下