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3年半ぶりの国立環境研究所とつくば

巻頭言

松井 佳巳

 3年半ぶりの国立環境研究所勤務となりました。前回と同じく金帰月来という中途半端な形ではありますが,またつくばに暮らすことになりました。この3年半で,研究所が,そしてつくばがどのように変わったか,または変わっていないか,気づいたことを書きとめてみたいと思います。

 1.まず,研究所について
(1)外観
研究所の構内を巡ると,当時完成間近だった環境試料タイムカプセル棟が供用されていることを除いて,大きな変化はありません。平成10年代前半,規模の大きい補正予算が何年か続いて組まれ,環境リスク研究棟(旧環境ホルモン総合研究棟),地球温暖化研究棟などが建設されました。その後は補正予算による新棟建設が行われていないので,外観上の大きな変化が生じていないのだろうと思います。しかし,昨年度から耐震補強工事が順次行われているほか,アスベストの除去工事も行われており,安心・安全の面からの繕いがなされています。また,私が気づいていない変化もかなりあるのではないかと思っています。なお,研究所の入り口周辺の景色もほとんど変わっていません。回転寿司もファミリーレストランも既にありました。隣組の二つの研究所(気象研,産総研)も外からみたかぎりでは変化なしです。
(2)第2期中期計画が始まって
平成18年4月に当研究所の第2期中期計画がスタートしました。第2期になって大きく変化したのは,「非公務員型」になったことです。これまでは研究所には「官」の肩書きを持つ人がたくさんいました。私も以前であれば「主任研究企画官」でしたが,「企画部長」になりました。また,前回は研究所への「出向」でしたが,今回は退職金の支給なしに環境省を「辞職」した上での研究所による「採用」です。このような形式的な変更に加えて,「官」の外に出たことに伴う法制度上の対応などが必要となりました。そして,第2期中期計画では,研究分野の選択と資源の集中を図るため,4つの重点研究プログラムを構築するなどの工夫がこらされています。さらに,理事長の提案で「環境憲章」を作りました。しかし,全般的な印象としては,特に大きな相違はないような気がします。これは見るセンスが不足しているのかもしれませんが,研究所の使命や対応すべき課題が特に変わったわけではありませんので,当然のことなのだろうと思います。

 2.そして,つくばについて
(1)つくばエクスプレス開業
平成17 年8月に開業したつくばエクスプレス(TX)の影響は絶大です。何しろ都心とつくばとが一本の鉄道で直結されたのです。これまでの①常磐線ルート,②東京駅とつくばとを結ぶ高速バスルートを合わせると,三系統の大量輸送機関が整備されたことになります。しかし,TXの便利さは圧倒的です。私はこれまでの慣れもあって,月,金の我が家(神奈川県茅ヶ崎市)と研究所との往復には①のルートをもっぱら利用しています。上野から千葉県,茨城県に向かう常磐線快速の乗客数自体は増えているようです。しかし,ひたち野うしく駅からのバスの乗客は激減し,以前は大変混み合うことがしばしばでしたが,今ではまず全員が楽に座われます。また,クラブ活動を終えて,ひたち野うしく駅から帰りの電車に乗り込む高校生もかなり減ったような気がします。そしてTXができるまで,②は関東鉄道とJRバス関東のドル箱でしたが,TX開業により受けた痛手は相当のようです。私は前回と同じく,研究所から直線で北北西約2キロの松代という地区の単身赴任用宿舎に住んでいます。以前は,本数こそ少ないものの,近くの停留所に止まる東京発筑波山行きの高速バスがあり,利用客が結構ありました。しかし,残念なことに廃止されてしまいました。また,宿舎の近くと研究所を通って荒川沖駅まで行くバスもなくなっていました。TXは便利さだけでなく,一面では不便さをもたらしました。
(2)町並み
研究所の入り口周辺はほとんど変わっていないと申しましたが,私の宿舎近くの通りには随分新しい店ができました。飲酒運転の取り締まりや違反に対する社会的制裁が厳しくなっているにも拘わらず,居酒屋風の店が何軒か増えました。「経営は大丈夫なのだろうか」とつい心配してしまいますが,それだけ人が増えているのでしょう。人口増といえば,つくば駅周辺エリアでのマンション新築が目立ちます。また,大型のショッピングモールもできています。都心まで1時間を切るのですから,ベッドタウン化が進むことは避けて通れませんが,これにより「個性ある研究学園都市」に「どこにでもあるようなベッドタウン」の要素が色濃く加味されていくと思います。ところで,研究所のホームページには,「筑波研究学園都市の景観変化」というサイト(http://www.nies.go.jp/social/keikan/index.html)があります。残念ながら1991年以降の情報更新がありませんので,新たな取り組みを期待しているところです。

 最後になりますが,つくば市のホームページ(http://www.city.tsukuba.ibaraki.jp/index/)を覗いてみると,平成19年10月1日現在の人口は206,661人です。平成15年10月1日現在の人口が187,686人ですから,4年間で約19,000人も増えています(この間の合併はありません)。今後さらに増加することは明らかで,いつの日か県庁所在地の水戸市(平成19年10月1日現在,263,661人)を追い抜き,茨城県第一の都市になるのではないかと思います。

(まつい よしみ,企画部長)

執筆者プロフィール

 1978年環境庁採用。2002年1月から2004年3月まで国立環境研究所環境情報センターに勤務。去る7月から再び研究所に。基本的に休日はつくばにいないので,筑波山にまだ登っていないなど,つくば及びその周辺のことが実はよくわかっていません。