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国立環境研究所「夏の大公開」開催報告

【研究所行事紹介】

山中 千世子

 国立環境研究所は,夏休み最初の土曜日に当たる7月22日に「夏の大公開」を開催しました。本イベントは,市民の皆様に研究所の活動をご紹介し,環境問題により深い関心を持っていただくために毎年行っているものです。今年も動員スタッフ約300名,公開施設15施設と,全所をあげて取り組みました。来所者からの要望に応え,夏休みに施設公開を行うようになって3年目になりますが,今年は入場者数4,941名(昨年は3,010名)と2年連続で最高入場者数の記録を更新し,大盛況のうちに終えることができました。

 今回は「生き物」をテーマに,子どもたちに大人気のクワガタの展示のほか,ドチザメに触れるタッチプールのコーナーを設けました。また,夏の風物詩の「ホタル」の生態について紹介するため,暗室内で実際にホタルが光る様子を観察できるコーナーを設置しました。この新企画には,大人からも子どもからも歓声があがり,大変ご好評をいただきました。

 恒例となった大山記念ホールでの環境講座として,「カラスは全部で何羽いる?-生き物を数えるむずかしさと工夫-」,「暑くて長梅雨!?50年後の日本の夏のはなし」,「持続可能な交通とつくばを考える」の3本を開講しました。講座参加者から「わかりやすい説明で大変良かった」と高い評価をいただきましたが,今後も皆さんの「知りたい!」にお答えできるよう,テーマ設定など工夫を凝らしていきたいと思います。

 10年目でも健在の「電気自動車ルシオール」の試乗や,3種類の水を飲み比べる利き水コンテスト,自分の遺伝子を見る体験コーナーも引き続き人気でしたが,今年は新しい企画も盛り込みました。本年7月に完成し,今回がお披露目会となったカルタ大会,名付けて「UVカルタ選手権」(小学生以下限定プログラム)では,大人も知らない紫外線に関する知識を,子どもたちが楽しく遊びながら学べたようです。また,「ぐるっとニース・スタンプラリー」では,各施設のスタンプ机に列ができるほどの盛況ぶりで,広い所内を楽しく廻っていただけたのではないかと思います。

 当研究所は広いだけでなく,迷いやすいことでも有名(!?)ですが,案内方法に工夫を凝らしました。所内3本のメインストリートに色分けした「のぼり」を立てて,のぼりに表示されている番号と地図を照らしあわて,現在地を確認できるようにしました。これまで,道を尋ねられても説明が難しく,目的地までご同行することも多々ありましたが,こののぼりによって「R5ののぼりを右・・・」と説明しやすくなったことは大きな一歩だったと自負しています。

 また,年々入場者数が増加するにつれ,駐車場の確保が難しくなり,昨年は残念ながら西大通りの渋滞を引き起こしてしまいました。案内方法の改善とともに,車対策は大きな課題でしたが,つくばサイエンスツアーオフィス,関東鉄道株式会社のご協力のもと,同日に施設公開を開催している産業技術総合研究所と国立環境研究所,つくばセンターを経由する循環バスを運行することにより,公共交通での来所をPRしました。一時期満車となり,車両入場できなかった一部の方にご迷惑をおかけしましたが,渋滞を防げたことはひとつの成果だったのではないでしょうか。

 まだまだ改善すべきところはたくさんありますが,皆様に「来て良かった。」と思ってもらえる施設公開となるよう,これからも工夫を重ねていきたいと思います。

 今回の「夏の大公開」を通して,研究所の活動に対する関心の高さ,期待の大きさをあらためて痛感しました。環境問題の解決には,研究だけではなく,皆さんの意識変革が必要不可欠です。公的な環境研究を使命とする研究所として,より多くの方に環境問題について関心を持っていただけるよう,研究の成果をわかりやすく発信する努力をこれからも続けてまいります。

開催の様子の写真(クリックで拡大表示)

(やまなか ちよこ,企画部広報・国際室)

執筆者プロフィール:

平成15年度環境省採用。平成17年度に国立環境研究所総務課に配属されるが,わずか11ヵ月で広報・国際室へ異動。車社会のつくばに引っ越して1年と数ヵ月経ちますが,まだバスと自転車で頑張っています。