「第23回地方環境研究所と国立環境研究所との協力に関する検討会」報告
久米 博
地方環境研究所(以下,地環研)と国立環境研究所(以下,国環研)との協力関係をより一層深め,発展させることを目的として,「地方環境研究所と国立環境研究所との協力に関する検討会」が平成16年2月19日に国環研において開催された。第23回を迎えた今回は,地環研側から全国環境研協議会(全環研)の須藤隆一会長(埼玉県環境科学国際センター総長)をはじめ,副会長,支部長及び常任理事計13名(内代理2名),そして国環研側からは合志理事長をはじめ幹部職員など17名の出席があった。
検討会では,まず国環研理事長,全環研会長,それに来賓として迎えた環境省総合環境政策局総務課環境研究技術室の齋藤眞室長から挨拶があった。引き続き,最初の議事として,地環研と国環研との連携のあり方について西岡秀三理事から説明があった。これは,検討会としては最初の試みとしてなされたもので,今後の連携体制強化の指針提示が目的であった。その後,全環研からの要望事項10項目((1)バイオアッセイ手法の確立と標準化,(2)騒音及び地盤沈下部門の研究・指導体制の強化,(3)標準試料の提供,(4)複数の地環研共同研究枠の拡大,(5)と(6)共同研究への財政支援の充実,(7)廃棄物問題に関わるデータバンク的機能の追加およびデータ解析等への技術的・財政的支援,(8)温暖化防止のための行動につながる調査研究の拡大,(9)ダイオキシン類の簡易測定法の開発,(10)危機発生時の環境測定)について,国環研からの回答とそれらに対する率直な意見交換が行われた。最後に,西岡理事による指針提示を補足する形で,地環研との共同研究の中から代表的なものを3つ選び,それらの実施の現状を報告した。さらに,環境情報センターの活動状況と要望についても紹介し,それぞれについて質疑応答がなされた。このように,本年度の検討会では新しい議題内容を盛り込んだが,それによって議論も盛んに行われ,その結果,地環研と国環研との相互理解がより深まったように思われる。
翌日の見学会では,地球温暖化研究棟を始め,循環・廃棄物研究棟,環境生物保存棟や環境ホルモン総合研究棟を見学して頂いた。
目次
- 人間からみた環境問題巻頭言
- 我が国の二酸化炭素排出量の削減可能性とその経済影響−AIM(アジア太平洋地域統合評価モデル)の開発−シリーズ重点特別研究プロジェクト:「地球温暖化の影響評価と対策効果」から
- 極域でのオゾン層破壊速度の定量化シリーズ重点特別研究プロジェクト:「成層圏オゾン層変動のモニタリングと機構解明」から
- 化学物質の複合曝露による発がんリスクの評価研究ノート
- 北極成層圏における雲粒の重力落下とオゾン層環境問題基礎知識
- —土壌・地下水汚染研究の現状と方向—「第19回全国環境研究所交流シンポジウム」
- 「第19回全国環境研究所交流シンポジウム」−土壌・地下水汚染研究の現状と方向−
- 新刊紹介
- 表彰・人事異動
- 編集後記
- 国立環境研究所ニュース23巻1号