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「COP(コップ)とは?」

環境問題基礎知識

亀山康子

 地球環境問題の話の中で,時折目にするCOP(コップ)。これは,締約国会議(Conference of the Parties)の略で,環境問題に限らず,多くの国際条約の中で,その加盟国が物事を決定するための最高決定機関として設置されている。最も頻繁に耳にするCOPは気候変動枠組条約(Framework Convention on Climate Change, FCCC)のそれ(COP-FCCC)。その他,生物多様性にも(COP-CBD)砂漠化対処条約にも(COP-CCD)それぞれ締約国会議がある。開催頻度は条約ごとに締約国によって決定される。協議の場は必要に応じてCOP以外にも開催されるが,最終決定はCOPでしかなされない。言い換えれば,COPの決定をたどっていけば,その問題に対する国際的取り組みの歴史が一望できるということである。

 COPをたどりながら交渉の流れを追うという方法を,地球温暖化問題(気候変動問題)を例に取ってみよう。気候変動枠組条約は1992年に採択され,1994年に発効した。1995年のCOP1(第一回目のCOPということ)では,条約では問題の解決に不十分であるという認識が共有され,2年間かけて議定書交渉を行うことが決定した(開催場所の名をとりベルリン・マンデートと言われる)。翌年のCOP2では,その議定書が法的拘束力を持つものとすることが了承された(ジュネーブ宣言)。京都で開催された1997年のCOP3(写真)では,2年間の交渉の結果として京都議定書が採択された。COP4では,京都議定書で承認されたさまざまな制度を実施するために必要な詳細ルールを2年間かけて交渉することが合意された(ブエノスアイレス行動計画)。COP5はその交渉の折り返し点として重要な決定は見なかった。翌年の2000年COP6では,合意の最終期限であったにもかかわらず米国とEUの間で最終調整がつかず,会議は翌年に持ち越されることになった。2001年7月に再開されたCOP6では,ブエノスアイレス行動計画に対する政治的合意が成立し(ボン合意),それを国際法として文書化したのがCOP7でのマラケシュ合意である。

 京都議定書が今後各国によって批准され発効した場合,必ずしも気候変動枠組条約のすべての締約国が京都議定書の締約国となるとは限らない。そのため,京都議定書には別の最高決定機関が必要となる。ただし,条約と議定書のメンバーはほぼ重複することが予測され,それぞれ別の日に会議を開いていたのでは効率が悪いため,京都議定書の場合には,条約のCOPが議定書のMOPを兼ねることになっている(COP/MOP, Conference of the Parties serving as the meeting of the Parties と呼ばれる)。今からちょうど1年前に,米国が京都議定書への参加を放棄したが,もしも米国が参加しないまま議定書が発効すると,COP会期中に「今日の午後からはCOP/MOPです」と言われ,COPに参加していた米国政府代表団が席をはずすという光景が見られるかも知れない。

 最後に,COPのPのParties は,締約国,つまり国を指すが,環境関連の会合には,産業界や環境保護団体,研究所などからのオブザーバー出席が可能となる場合が多い。これは,環境問題の解決には政府だけでなくすべてのレベルの団体が問題解決を担っていくべき性質を持つ問題であるという特徴を示す状況である。今や,オブザーバーは,単なる傍聴(オブザーブ)にとどまらず,インターネットを通じて会議の模様を世界に流し,ロビー活動で政府関係者に意見を伝え,会議場でサイドイベントとしてワークショップを開催し,世界各国の同業者と意見交換する,など,ますます重要な役割を果たすようになっている。気候変動枠組条約のCOPでは,これらのオブザーバーを加えると毎回3000人から10000人ほどが一同に会する大規模な会議となる。普段はなかなか会えない人たちとネットワークを広げる場と考えるCOP参加者も少なくないかも知れない。

写真 COP3(1997年)の風景
写真 COP3(1997年)の風景

 (かめやま やすこ,社会環境システム研究領域)

執筆者プロフィール

 旧姓川島は温暖化をテーマに。改姓して別天地テーマを模索中。趣味はサイクリング。とある週末には水戸まで小旅行。道中の旧屋敷や日本の原風景を堪能し,偕楽園では梅の名を覚え香を楽しみ,最後はやはりお団子。