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国務大臣・環境庁長官 中村 正三郎

なかむらしょうさぶろう の写真

 新入学生や新社会人等多くの人々が希望に胸ふくらませて人生の門出に臨む季節となりましたが、今年の春は、環境行政に携わる者にとっても特別の意味を持つものとなっています。6月にブラジルで開かれる「環境と開発に関する国連会議」、いわゆる地球サミットを控え、地球環境の将来を大きく左右する時期であります。

 今日、人類は、自らの社会経済活動により地球問題を生じさせ、その生存そのものが脅かされるに至っています。地球サミットをきっかけに、全世界挙げて環境問題に対する抜本的な取り組みを進めなければ、地球の温暖化や野生動植物の種の絶滅など、取り返しのつかない結果を招きかねません。まさに、今年は、人類の生存にとっての岐路の年であり、人類の英知を集めて取り組みを進めていくべき時期であります。

 このような環境問題に適切に対処していくためには、その環境汚染の原因の究明など、科学的知見を基礎として取り組みを進めなければならないことは、もう申し上げるまでもありません。確かに地球温暖化問題に見られるように、十分な科学的知見が得られることを待っていたのでは、手遅れになりかねない問題もありますが、でき得る限り現下の科学的知見を総結集して、早急に講ずべき対策を樹立すべきであります。また、それらの対策は、新たな科学的知見により常に検証されなければなりません。

 私は、今年1月に国立環境研究所を訪問いたしましたが、所員の皆様が、日々精力的に調査研究に携わっておられるところを拝見し、大変心強く思いました。日本の国際貢献が盛んに言われる昨今、環境問題、とりわけ環境研究の分野は、平和国家日本が世界に貢献できる重要な分野であります。国立環境研究所は、その中核的役割を果たすべく大きな期待を担っているところであり、行政としてもその体制強化に引き続き取り組んでまいる所存です。

 国立環境研究所の皆様の役割の重要性に思いを致すとともに、一層のご活躍を祈念して、新年度のご挨拶といたします。

(なかむら しょうさぶろう)