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亜寒帯バイカル湖のカジカ類の湖底1600mまでの適応放散を分子・生活史から探る(平成 30年度)
Deep water (down to 1600 m depth) adaptive radiation of subarctic Lake Baikal sculpins: an investigation based on their life cycles and molecular phylogenies

予算区分
CD 文科-科研費
研究課題コード
1518CD009
開始/終了年度
2015~2018年
キーワード(日本語)
バイカル湖,カジカ類
キーワード(英語)
Lake Baikal,sculpins

研究概要

世界遺産バイカル湖は,多くの固有種を育む世界最古の湖であり,亜寒帯の生物多様性を構成する重要なホットスポットである.魚類では30種以上に分化したカジカ類が有名で,多様性の形成機構を研究するのに好適な生物として世界的に注目されている.本湖は最深部が1600mを越える非常に深い湖であるが,亜寒帯のロシア・シベリアに位置するため,表層で冷却された水が沈み込むことにより最深部まで酸素が行き渡る.このため,カジカ類も深層部を含む湖全体に分布しており,普通のカジカ類のように湖底で一生を送るものから,繁殖期以外を沖合の表・中層で過ごすもの,さらには,沖合の中深層で一生を送るものまでが存在する.本研究では,3科12属33種に分類されているこのバイカルカジカ類について,様々な場所に生息する代表種の繁殖生態や仔稚魚期の生活および魚体の形態的特徴を調べる一方で,DNAデータに基づいてほぼ全種の系統関係を調べ,後者で得られた系統的枠組みを参考に前者の進化過程を再構築し,本グループの多様化の進化過程を明らかにする.

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:応用科学研究

全体計画

4年の研究期間において,毎年1回,現地調査を行い,代表種の繁殖生態と仔稚魚期の分布についてのデータを集めると同時に形態およびDNA解析用の魚体標本を収集する.最終年度の調査が終わった時点で,収集できた全種を含む系統樹を作成し,代表種の生態・形態データをこれにマッピングして,本グループの進化の全容について考察を行う.

今年度の研究概要

 4年目の今年度は6月に現地調査を行い,生態データと魚体標本の収集を行う.分子系統解析を担当する自分は,新しく得られた種のDNAシーケンスを行う.

外部との連携

高知大学の木下泉教授が研究代表者であるプロジェクトに研究分担者の一人として参画。DNA解析を担当。

課題代表者

馬渕 浩司

  • 生物多様性領域
    琵琶湖分室(生物)
  • 室長(研究)
  • 博士(農学)
  • 生物学,水産学
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