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ツマアカスズメバチをはじめとするスズメバチ類の化学的防除手法の開発(平成 29年度)
Developing chemical control tequniques to manage Vespa wasps inclusing the invasive hornet, V. velutina nigrithorax.

予算区分
KZ その他公募
研究課題コード
1717NA001
開始/終了年度
2017~2017年
キーワード(日本語)
ツマアカスズメバチ,化学的防除手法
キーワード(英語)
Vespa velutina nigrithorax, chemical control

研究概要

スズメバチ類は国内において毎年約20人の死亡事故を起こす最も危険な野生動物である。従来、スズメバチの駆除は一つ一つの巣を駆除する手法がとられてきたが、少子高齢化社会の到来により、より安全で効率的な防除手法の開発が必要とされている。そこで本研究では、スズメバチ類の化学的防除手法を開発することを目的とする。開発した手法は、近年日本に侵入し爆発的に増加したツマアカスズメバチにも有効であると考えられる。
 開発は3段階に分かれており、まず幼虫に対する毒性試験を行い、次に室内飼育コロニーに対する試験、そして最後に野外コロニーに対する試験を行う。毒性試験はスズメバチ類の幼虫および成虫を用いて試験し、化学的防除に効果的な薬剤を特定する。次に、室内試験ではその薬剤をスズメバチの飼育コロニーに与え、コロニーレベルの影響を調べる。そして最後に野外試験ではツマアカスズメバチをはじめとするスズメバチ類の野外コロニーに対して試験を行い、防除手法を確立する。

研究の性格

  • 主たるもの:技術開発・評価
  • 従たるもの:応用科学研究

全体計画

本研究では、ツマアカスズメバチおよび在来スズメバチ類の化学的防除手法の開発を目指すことを目的とする。開発は3段階に分かれている。まず1. 最も効果的な薬剤を特定し、次に2. 室内におけるコロニー飼育試験において薬剤の動態を明らかにする。最後に3. 野外において化学的防除試験を実施し、実効性を確認するとともに、生態影響を調査する。
スズメバチ亜科における化学的防除手法の開発は、海外のクロスズメバチ属(Vespula)の数種について研究事例がある一方(reviewed by Rust and Su 2012)、より大型のスズメバチ属(Vespa)に対して行われた研究は世界的にも例がない。スズメバチ属はクロスズメバチ属とは生活史が異なるため、スズメバチ属に特化した防除手法を開発する必要がある。また、化学的防除手法の開発には、日本国内の自然環境等を考慮する必要がある。たとえばツマアカスズメバチの防除が必要な対馬には、ツシマヤマネコをはじめとする固有の生物が多く生息している。実施する防除手法がそれらの生物に悪影響を与えないよう配慮する必要がある。

今年度の研究概要

1. 毒性試験による薬剤の探索
社会性昆虫を減少させるには働き蜂を減らすことよりも、新女王成虫とオス成虫の生産を止めることが重要である。そこで毒性試験では働き蜂が薬剤を確実に巣に持ち帰ることができ、かつ幼虫に対する毒性が強いものが望ましい。そこで使用する薬剤は遅効性で、かつ忌避性の低いものが候補となる。具体的には、これまでにクロスズメバチ属に対する研究で実績のあるフィプロニル、ヒドラメチルノンなどのほか、エトキサゾールなどの昆虫成長抑制剤(IGR)から選定する。比較実験として有機リン系のアセフェートも使用する。
2. 室内におけるコロニー飼育実験(ベイト剤の探索)
安全かつ効率よく持ち帰らせる薬剤付きベイトを開発するために、室内におけるコロニー飼育実験を行う。候補となるベイトはキャットフード、ツナ缶、鶏ササミなどである。
またこの実験では、薬剤付きベイトの動態を観察し、巣あたりに必要な薬量およびベイト量を算出する。
3. 野外での化学的防除試験の実施
実験1および2で絞り込んだ薬剤およびベイト剤を用いて、野外で薬剤付きベイトの持ち帰り試験を実施する。いくつかの野外巣に対して試験を実施し、試験を実施した場合としない場合で結果を比較し、効果を検証する。最後に対馬のツマアカスズメバチに対して野外試験を実施し、市民参加による防除手法の社会実装に展開していく。

備考

公益財団法人 大下財団

課題代表者

岸 茂樹

  • 生物・生態系環境研究センター
    生態リスク評価・対策研究室
  • 特別研究員
  • 博士(農学)
  • 生物学,農学
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