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重金属が河川底生動物群集に及ぼす影響評価(平成 28年度)
Ecological Impact Assessment of Heavy Metals Based on Field Survey of Benthic Invertebrates in Kasu River, Gunma Prefecture.

予算区分
KZ その他公募
研究課題コード
1617KZ001
開始/終了年度
2016~2017年
キーワード(日本語)
生態影響評価,重金属,河川底生動物
キーワード(英語)
Ecological Impact Assessment,Heavy Metals,Riverine Benthic Invertebrates

研究概要

 河川底生動物は、一次生産者である藻類や高次捕食者である魚類を繋ぐ役割を持ち、また落葉などの機物の分解者として河川の自浄作用に貢献しており、河川生態系の重要な位置を占めている。また、底生動物は、幼虫時の生息場が比較的狭い範囲であるために、成長期間中の水質の影響を受け易いとされており、河川水質の影響評価に使われてきた経緯がある。河川中の化学物質と底生動物群集については、年1回程度の調査は行われてきたが、底生動物の生活史を通じた通年に渡る調査は行われた事例は少ない。このため、化学物質の濃度により個々の種への生育に対する慢性的な影響について十分に評価がなされていないのが現状である。本研究では、河川中の重金属による底生動物群集への慢性的な影響について、明らかにすることを目的とする。具体的には、1年間を通じて河川中の重金属と底生動物群集を調査し、群集を構成する個々の種の個体群の個体数や平均的な湿重量の推移を計測し、年間に羽化する回数である化生等の生育に関する生活史への影響を評価する。 
 また、ミトコンドリアDNAを用いて、粕川と別の河川の個体群を識別し、種の存続性について明らかにする予定である。この理由としては、重金属汚染がある粕川の個体群が再生産しているのか、又は他河川の個体群の移入より粕川の個体群が維持されているのかを特定することは、多世代の慢性影響を評価することに繋がるからである。この結果を踏まえて、河川に生息する生物種の飛翔による空間的な移動についても考慮した保全管理計画についても検討を行う予定である。これにより、単一の河川だけではなく、周辺の河川を含めた流域での河川生態系の保全を効果的に行えるようになると考えられる。

研究の性格

  • 主たるもの:応用科学研究
  • 従たるもの:

全体計画

 群馬県伊勢崎市を流れる利根川水系の粕川で、2016年5月から2017年4月末にかけて毎月水質と底生動物の調査を下木戸橋、殖蓮橋、保泉橋で時系列的な行う。3地点は、事前の調査で亜鉛濃度が0、30、60ppb位であり、現在の亜鉛基準値である30ppbを境にして底生生物群集がどのような影響を受けているのかを明らかにすることが可能であると考えられる。この調査結果より、群集を構成する個々の種の個体群の個体数や平均的な湿重量の推移を計測し、年間に羽化する回数である化生等の生育に関する生活史への影響を評価する予定である。
 また、2017年秋頃に、粕川の個体群の存続性について調査するために、ヒラタカゲロウ(亜鉛の環境基準の基となった生物)、毒性試験法が確立しているコガタシマトビケラやユスリカ属の中より1種を選択し、ミトコンドリアDNAを群馬県粕川とその周辺河川で採取し、河川間の個体群の差異を特定する。ミトコンドリアDNAは、核DNAと比べて進化速度が早く、個体群の分化速度が速いという特徴 を持つため、鉱山廃水などの天然由来よりも暴露期間が短い工場由来でも差異を特定することが可能であると考えられる。粕川と別の河川の個体群を識別する理由としては、重金属汚染がある粕川の個体群が再生産しているのか、又は他河川の個体群の移入より粕川の個体群が維持されているのかを考慮することは、多世代の慢性影響を評価し、河川の生態系を保全することに繋がるからである。これにより、粕川で生息する上記で選択された種が、粕川内で再生産されているのか、他の周辺河川により維持されているのか明らかにし、重金属が種の世代交代への影響を評価する予定である。

今年度の研究概要

 2017年度は、2016年度に引き続いて時系列的な水質と底生動物の調査を行う。この調査結果より、群集を構成する個々の種の個体群の個体数や平均的な湿重量の推移を計測し、年間に羽化する回数である化生等の生育に関する生活史への影響を評価する予定である。
また、粕川の重金属による底生動物個体群の存続性について調査するために、その遺伝子を検査し比較する。遺伝子の調査は、粕川の下木戸橋、殖蓮橋、保泉橋の3地点と粕川に隣接する広瀬川、早川や利根川等の地点において種の採取を行う予定である。これにより、粕川で生息する種が、粕川内で再生産されているのか、他の周辺河川により維持されているのか明らかにし、重金属が種の世代交代への影響を評価する予定である。

備考

 本研究は、公益財団法人河川財団 平成28年度河川基金の助成(助成番号:285311004、助成期間:平成28年度から平成29年度)を受けて遂行するものである。また、環境リスク・健康研究センター第4期中長期計画PJ3テーマ『生態学モデルに基づく生態リスク評価・管理に関する研究』サブテーマ1『環境かく乱要因と生物群集の因果関係の推定と最適管理に関する研究』と同じ河川を調査している。

課題代表者

三崎 貴弘

  • 環境リスク・健康研究センター
    リスク管理戦略研究室
  • 特別研究員
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