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放射性物質汚染管理システムの開発(平成 28年度)
Development of Management System for Radioactively Contaminated Off-Site Waste

予算区分
AS 災害環境研究
研究課題コード
1620AS002
開始/終了年度
2016~2020年
キーワード(日本語)
放射性物質汚染廃棄物,管理システム,減容化,フロー・ストック,測定モニタリング,最終処分,中間貯蔵,長期管理
キーワード(英語)
Radioactively Contaminated Off-Site Waste , Management System, Volume Reduction, Flow-Stock, Measurement and Monitoring, Final Disposal, Interim Storage, Long‐term Management

研究概要

国の喫緊の最重要課題である中間貯蔵と県外最終処分に向けた減容化技術等の研究開発に取り組むとともに、指定廃棄物等の処理処分に係る技術的課題解決のための研究開発を進める。
具体的には以下の3つの課題に取り組む。
(1) 放射性物質を含む廃棄物等の減容化技術(熱的減容化技術とセメント技術適用)の開発・高度化。
(2) 資源循環・廃棄物処理過程におけるフロー・ストックの適正化技術と管理手法の確立(フロー・ストックのリスク評価と管理システム開発、測定モニタリング管理手法開発)。
(3) 低汚染廃棄物等の最終処分及び除去土壌等の中間貯蔵プロセスの適正化と長期管理手法の開発・提案。

研究の性格

  • 主たるもの:技術開発・評価
  • 従たるもの:行政支援調査・研究

全体計画

(1)については、対策地域内の仮設中間処理や中間貯蔵における焼成や溶融等の熱的減容化プロセス等における放射性セシウムの挙動 を解明し、中間貯蔵で必要となる熱的減容化技術と県外最終処分に向けての高濃縮物の廃棄体作成等に関する技術開発に取り組むとともに、汚染廃棄物を取り扱う中間処理施設等の適正な維持管理及び解体手法を提示する。具体的には、2年後までに仮設中間処理施設等における被焼却物の性状に基づく放射性セシウムの挙動の類型化を行い、除染廃棄物等熱処理施設内の放射性セシウムの蓄積挙動を解明する。5年後までに、焼却シミュレータ、減容化技術及び廃棄体製造技術の開発と実証を行うとともに、同施設の安全な維持管理と解体法を確立する。
 これらを通じて、中間貯蔵施設の適正かつ円滑な運営に資する知見を提供する。
(2)については、放射性物質による汚染地域で発生する廃棄物・副産物の処理処分や再生利用で流通するフロー・ストックの定量化とデータベース化、及びリスクに応じた保管、処理、処分の方法、再生利用の用途を合理的に選択する手法を構築する。また、事故由来放射性物質の測定モニタリング手法の開発と検証及び福島第一原発近傍の廃棄物管理で必要となる放射性セシウム以外のα線、β線核種の評価方法を構築する。具体的には、2年後までにガイドライン等にある放射性セシウム測定方法を検証するとともに、放射性ストロンチウム測定法の開発と汚染状況や廃棄物処理過程での挙動を明らかにする。3年後までに、放射性セシウムのフロー・ストックモデル等を用いて廃棄物・副産物の発生地域と種類毎に安全な再生利用用途を示すとともに、大容量試料の簡易測定法を開発する。5年後を目処に、その他の核種の測定方法を開発する。
 これらを通じて、汚染廃棄物の適正な管理と再生利用に資する知見を提供する。
(3)については、汚染廃棄物が埋め立てられた最終処分場の長期管理、除染で発生する除去土壌等の仮置場での保管や搬出、中間貯蔵の方法や貯蔵後の長期管理等に関する技術を開発・提案する。また、除去土壌等の有効利用を目的とした品質評価や管理方法、汚染廃棄物の貯蔵や処分に用いられるコンクリートの耐久性維持管理について検討するとともに、埋立地浸出水中の放射性セシウムを極低濃度域で連続的にモニタリングするシステムを開発する。具体的には、2年を目処に汚染廃棄物が埋め立てられた最終処分場に用いる難透水性覆土の要件を把握し、固型化物からの溶出特性を明らかにして長期挙動を評価する数値モデルを作成するとともに、除去土壌を用いたカラム溶出試験とライシメーター試験を行い、汚濁物質等の溶出挙動等との比較を通じて実規模貯蔵施設における挙動予測を行う。また、浸出水において極低濃度の放射性セシウムを連続的にモニタリングする。3年後を目処に、数値シミュレーション等との比較・解析により、安全・安心な埋立地管理に資するアラートシステムを完成させるとともに、除染で発生した可燃物保管時の発熱機構を明らかにする。5年後を目処に、固型化物以外の廃棄物からの溶出特性と溶出した放射性セシウム等の土壌吸着特性を明らかにし、一連の結果をもとに汚染廃棄物を埋め立てた処分場の長期的管理要件をとりまとめるとともに、コンクリートの耐久性実証実験を行い、コンクリート維持管理資料を作成する。
 これらを通じて、特定一般廃棄物、特定産業廃棄物の最終処分場、指定廃棄物の最終処分場ならびに中間貯蔵施設の適正かつ円滑な設置と運営に資する知見を提供する。

今年度の研究概要

 (1)については、除染廃棄物の焼却処理施設における放射性セシウムの挙動解明と減容化技術の開発を進めるとともに、焼却施設の管理・解体撤去方法を提示する。また、フェロシアン化物による放射性セシウムの抽出技術、最終廃棄体化技術、及び処分施設コンクリートの耐久性確保技術の開発を行う。
 (2)については、福島県内外の廃棄物・副産物のフロー・ストックに沿った被ばく線量評価を複数事例について試行する。また、廃棄物処理や大気降下物等に含有される放射性セシウムの挙動把握や放射性ストロンチウム等他核種の評価等を行う。
 (3)については、汚染廃棄物処分場の土壌吸着層内での放射性セシウムの挙動を多段式カラム試験により把握する。また、試験サイトでのモニタリング等により難透水性隔離層における雨水涵養量推定の影響因子を明らかにする。更に、除去土壌貯蔵時の有機物混入による汚濁物等挙動の実験的検討を進める。

外部との連携

神鋼環境ソリューション、クボタ、新日鉄住金エンジニアリング、三菱総研、太平洋セメント、日立造船、福島県

課題代表者

山田 正人

  • 資源循環領域
    廃棄物処理処分技術研究室
  • 室長(研究)
  • 京都大学博士(工学)
  • 工学,生物工学,化学工学
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担当者