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超低周波電磁界の神経幹細胞に及ぼす影響評価に関する研究(平成 26年度)
Evaluation of effects of electromagnetic fields on neural stem cells

予算区分
NA 寄付
研究課題コード
1414NA001
開始/終了年度
2014~2014年
キーワード(日本語)
神経幹細胞,超低周波電磁界
キーワード(英語)
neural stem cells, electromagnetic fields

研究概要

電磁界の健康影響に関しては長所と短所が指摘されてきている。長所は電磁界、特に磁界の医療への応用である。MRI(核磁気共鳴画像法)による脳の診断に威力を発揮している。更に、作用機構は不明であるが、パーキンソン病などの神経変性疾患の治療として、DBS(脳深部刺激療法)が用いられてきている。
   一方、短所としは送電線などの超低周波電磁界と小児白血病や小児脳腫瘍との関連性が指摘されてきている。近年の研究では、中・高周波電磁界との関連性も報告されるようになってきた。
   本研究では、このような電磁界の健康影響に関して2面性をもつ原因を神経幹細胞を用いて明らかにすることを目的とした。神経幹細胞は、神経系細胞の根源をなす細胞であり、自己増殖と多分化能を有する。また、神経幹細胞は大人の脳内にも存在し、神経系発生がみられる。ただ、その数は圧倒的に少ない。そこで、電磁界刺激が、これらの神経幹細胞を刺激し、変性したあるいは脱落した神経系細胞と置き換わったり、補充したりするようなことがあれば、医療で用いられてきている脳深部刺激療法のメカニズムの解明に大きな手掛かりを与えることになる。
   また、電磁界の発がん作用に関しては、がん幹細胞と同じ考え方に立脚している。がん組織はヘテロな細胞より構成されている。それは、根源の幹細胞の多分化能に由来すると考えられて来ている。つまり、神経幹細胞が電磁界により変異を受け腫瘍形成能を獲得すれば、生来の自己増殖能と多分化能により十分にがん幹細胞に変異しうることが予想される。
   以上の理由から、本研究では電磁界の健康に及ぼす2面性を神経幹細胞への影響を調べることによりそのメカニズムを明らかにしようというものである。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:

全体計画

低レベル磁界である超低周波電磁界の健康影響のメカニズムを明らかにするために本研究では、高感受性細胞としての神経幹細胞を取り扱う。また、低レベル磁界の生体影響を高感度よく検出するために最先端技術としてオミクスの手法を中心に用いる。
   最初に、小動物より神経幹細胞を単離し、培養系を次のように確立する。妊娠ラット(E15日)を購入し、麻酔下胎仔を培養液中に取り出す。取り出した胎仔のを露出し、中脳胞を切り出す。どうようのことを胎仔薬12匹から集める。脳組織を刻んだ後、タンパク質分解酵素や核酸分解酵素により組織を消化する。消化反応を培養液で止め、μメーターのメッシュで濾す。次に、低速遠心機により神経幹細胞を収集する。神経幹細胞の継代は、未分化維持因子の存在下神経幹細胞の塊が出現するまで続け、電磁界曝露に供する。
   次に、超低周波電磁界を曝露し、神経系分化や染色体の異常や神経系細胞死について影響の有無を調べる。電磁界は、100μテスラから1週間以上曝露する。曝露装置は磁場が比較的安定なメリット型コイルを採用する。
   曝露した神経幹細胞を試験用プレートに播種し、曝露影響を調べる。最初に、これまで環境化学物質の神経発生毒性評価に用いてきた、神経幹細胞移動阻害を指標とした試験を実施する
   最後に、電磁界曝露による細胞増殖能、分化能、細胞死等への影響を評価する。

今年度の研究概要

最初に、小動物より神経幹細胞を単離し、培養系を次のように確立する。妊娠ラット(E15日)を購入し、麻酔下胎仔を培養液中に取り出す。取り出した胎仔のを露出し、中脳胞を切り出す。どうようのことを胎仔薬12匹から集める。脳組織を刻んだ後、タンパク質分解酵素や核酸分解酵素により組織を消化する。消化反応を培養液で止め、μメーターのメッシュで濾す。次に、低速遠心機により神経幹細胞を収集する。神経幹細胞の継代は、未分化維持因子の存在下神経幹細胞の塊が出現するまで続け、電磁界曝露に供する。
   次に、超低周波電磁界を曝露し、神経系分化や染色体の異常や神経系細胞死について影響の有無を調べる。電磁界は、100μテスラから1週間以上曝露する。曝露装置は磁場が比較的安定なメリット型コイルを採用する。
   曝露した神経幹細胞を試験用プレートに播種し、曝露影響を調べる。最初に、これまで環境化学物質の神経発生毒性評価に用いてきた、神経幹細胞移動阻害を指標とした試験を実施する
   最後に、電磁界曝露による細胞増殖能、分化能、細胞死等への影響を評価する。

課題代表者

石堂 正美

  • 環境リスク・健康領域
  • シニア研究員
  • 理学博士
  • 理学
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