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環境創生研究プログラム(平成 26年度)
Environmental Renovation Research Program

予算区分
AR 震災対応
研究課題コード
1415AR006
開始/終了年度
2014~2015年
キーワード(日本語)
地域環境,環境イノベーション,地域モデル,統合モデル
キーワード(英語)
Local Environment, Green Innovation, Regional Model,, Integrative Model

研究概要

福島と東北地域が目指す、持続的な発展を可能にする中長期の将来ターゲットを具体的に計画し、そこに至る短期の行動計画を科学的根拠に基づいて設計する手法を開発し、実際に適用する。 都市と産業、農林業が連携する地産地消型システム等の、地域の環境資源と社会基盤を効率的に活用する環境成長型の復興の仕組みを構築する「地域の統合評価モデル」とともに、復興の技術・政策パッケージ、地域環境の統合データベース(ナレッジハブ)等を含む、計画策定と評価検証の支援ツールを開発する。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:

全体計画

(1)環境創生の地域情報システムの開発
 被災地では個別分野での観測や知見はデータとして蓄積されつつあるものの、それ
らの情報を、住民のニーズに応じて統合化して、自治体や住民が共有する機会が欠如
している。そのため、行政担当者にとっても、企業、住民にとっても中長期的な復興
の指針を議論する基盤と総合的な知識と経験、情報のプラットホームが不足してい
る。統計情報や地図情報とともに、観測情報、衛星情報、および環境・エネルギーに
ついての将来シミュレーション情報について、地理情報システム(GIS)等を活用し
て住民、自治体、企業のニーズに応える地域情報の体系化や、地域情報を活用して復
興地域の生活を支援する情報システムの構築が不可欠であることから以下の研究を進
める。

1) 復興支援の統合データベースの構築
地域環境・資源関連情報(自然、資源・エネルギー、廃棄物、放射性物質、社会関係
資本、人的資源 等)の総合データベース化と情報共有システムを開発する。とくに
復興地域の生活を支援するために重要な自立型地域エネルギー効率化支援情報、復興
高齢化・健康コミュニティ支援情報、地域環境情報・交通情報などを一括管理するス
マート・ハイブリッドセンターを構築し、復興に向けた地域環境に関する統合データ
ベース(知識ハブ)を整備する。

2) 双方向型コミュニティネットワークシステムの開発
地域エネルギー制御や復興コミュニティ活動支援等を可能にする双方型のコミュニ
ティネットワークシステム(CNS)を開発する。CNSでは、統計情報、地図情報、シ
ミュレーション情報と住民調査情報等を組み合わせて、住民や企業のニーズに答える
情報を構築するとともに、コミュニティネットワークで共有し、復興地域における生
活支援や地域コミュニティにおける「絆」の創生に貢献する。とくに復興住宅におけ
る家庭・業務・公共施設スマートメータを開発し、エネルギー消費やCO2排出特性の
見える化と地域の節電行動の情報収集・解析、地域特性に応じて節電・省エネメッ
セージ等の省エネ行動支援と効果の測定などを通じて、震災で弱体化しているコミュ
ニティ・環境情報の共有を支援する仕組みを構築する。

(2) 環境創生の地域シナリオ解析モデルの開発
地域統合モデルの開発は、復興、産業振興、温暖化対策、資源循環、生態系保全な
ど、今後の様々な計画、対策について、そのビジョンを明確にするとともに、そうし
たビジョンの実現に向けたロードマップの提示、対策費用の評価、様々な環境問題へ
の影響を評価するために行うものである。国などの上位計画との整合性を踏まえたマ
クロな視点からのビジョン作成と、計画・実行を意識したミクロな視点でのシナリオ
作成の両面が、本研究プロジェクトを進めるにあたって実効的かつ効果的であること
から、サブテーマを構成することとしている。また、自治体職員や地元のステークホ
ルダーにビジョン構築やモデルを用いたシミュレーションに参画を求めることも想定
している。これにより、各自治体において温暖化防止実行計画等を策定される場合
に、各自治体の有する地域資源や特徴を踏まえて構築することの意義を共有するとと
もに、実際の策定においても本プロジェクトで開発するツール群を活かすことを目的
としている。

1) マクロモデルによる将来ビジョンの策定支援
東日本大震災からの復興事業、将来ビジョンを評価するためのマクロなモデルの開発
を行うとともに、こうしたモデルを用いた将来シナリオの策定やビジョンの評価、環
境問題への影響分析を行う。また、復興とともに低炭素社会や生態系保全などの環境
保全を両立させる視点から、様々な対策を導入する場合の評価について分析を行う。
主として開発するモデルは、以下の通りである。

i) スナップショットツール:目標年のビジョンを評価するための簡易ツール。
ii) バックキャスティングモデル:1)で示されたビジョンを実現するために、現
状から目標年までの間にどのような対策を関連政策とあわせてどのタイミングで導入
すればよいかを示す。
iii) 一般均衡モデル:対策の経済影響を評価するためのモデル。市町村の場合、
境界条件が曖昧であり、均衡解は実態と乖離する可能性があるが、様々な条件を設定
することで、対策に向けた投資の影響等を解析する。
iv) その他の応用モデル
・技術選択モデル:対象とする各市町村において、技術導入の可能性とその効果を明
確に示す。
・生態系サービスモデル:各市町村に賦存する資源の有効利用や変化について評価す
る。
さらに、地域環境空間解析モデルとの連携を踏まえ、マクロな分析とミクロな活動を
統合したモデルの提示とそれをもとにした将来ビジョンの定量化、効果を示す。

2) 地理情報システムを基礎とした復興と環境保全の両立に向けた地域詳細分析
マクロな将来ビジョンを、実際の計画として適用するためには、さらに個別の地区が
保有する環境資源を踏まえた計画の策定が必要となる。本サブテーマでは、地理情報
システムをもとに、各地区が保有する環境資源、特にエネルギー需給ポテンシャルを
解析して、空間特性に応じた計画策定を支援するとともに、復興計画や将来ビジョン
の実現を目指した取り組みについて評価を行う。また、あわせて、明らかとなった制
約を反映させるフィードバックも行う。ここで得られた手法は、環境省温対地方実行
計画策定マニュアルや復興環境未来都市の計画策定を支援することも視野に入れたも
のとする。

(3)参加型の環境創生手法の開発と実装
復興支援のデータベースと、マクロモデルによる中長期の復興、再生のターゲットの
策定により中長期シナリオ(規範的シナリオ)を明確化するとともに、地域詳細モデ
ルが提供する中長期シナリオとの整合性を考慮した事業計画のロードマップ(探索的
シナリオ)をステークホルダー参加型で描いていく「社会行動研究」を推進する。探
索的シナリオでは、産業・住宅・農地等の短期的な立地制約や環境(低炭素・循環・
自然共生)の地域固有の価値を校了することにより、住民選好の時系列の変化を反映
する実行性の高いシナリオの設計が可能になる。規範的シナリオが主に統計情報が重
要なデータソースになるのに比べ、探索的シナリオは空間情報や地域選好などの地域
情報(Local knowledge)が主となるため、データの入手困難性は高まる。これらの
情報を入手するために、ステークホルダー(町民、産業、行政等)と研究者間でのダ
イアログの積み重ねと深化が重要になる。ダイアログに加え、モニタリングデータと
して、復興ナレッジデータベースで蓄積したデータを有効に活用する。これらの情報
を基に、多様な主体が参加し、長期目標と短期事業を整合化した復興創生の規範的・
探索的融合型シナリオを、GIS等を用いて構築し、一定年度ごとに検証、修正を行う
プロセスを構築する。さらに、現在から目標年までの社会の移行プロセスをトラン
ジッション・マネジメント理論に基づいて解析することで、それまでの社会移行マネ
ジメントの知見を他の自治体の戦略的な計画づくりに活用する。

1) 地域統合モデルを用いた探索的シナリオの検討プロセスの設計
地域統合モデルを用いた長期の地域の将来ターゲットを実現する、地域の探索的シナ
リオを産業連携・人口制御、土地利用マネジメントの組み合わせで代替的なシナリオ
として構築して、その定量評価を空間に帰属することにより、地域のステークホル
ダーの理解を進めて、住民、企業、行政間での意思決定を支援する枠組みを構築す
る。さらに、長期的な土地利用のターゲットを示しつつ、探索的なオプションとして
産業共生、農業共生、エネルギー共生を志向し、実効性の高いシナリオを策定する。
これにより、GISを用いた探索的シナリオを参加型で構築する仕組みを設計する。

2) 参加型の環境創生計画の社会実装研究
 社会の移行プロセスをマクロ、メソ、ミクロレベルの相互作用で分析するトラン
ジッション・マネジメントの基本理論の枠組みを活用し、複数主体の選好によるシス
テムの変化を分析するマルチエージョントモデルを用いたシミュレーションを行い、
CNSを用いた福島県自治体の実測値との関係を実証的に検証する。具体的には、町民
をエージョントとして、革新的な技術やライフスタイルによる現状支配的な傾向を転
換させるモデルを分析する。規範的な叙述シナリオを基にした社会的圧力を定量化
し、町民の選好性への影響を組み込み、その転換のプロセスを学術的に一般化して国
内外に発信する研究を志向する。地域の転換を誘導する環境政策、都市政策の制約、
転換の方向性を国際比較の下で同定することにより、環境創生を支援する政策体系に
ついての解析を行う。

今年度の研究概要

都市と産業、農林業が連携する地産地消の地域環境システム等、地域資源や社会資本を活かすことで環境と経済が調和する地域の復興目標の科学的設計と、優先技術・政策・事業のパッケージを明らかにする「地域の統合評価モデル」の調査研究を進める。将来ビジョン策定を支援する統合評価モデル「東北・地域AIM」を開発し、モデルの適用によって、県、都市毎に中長期の環境成長のターゲットの設定を可能にするフレームを検討し、・都市、産業、農林水産業等が連携する地産地消型システム等、環境・経済調和型の復興「技術・政策パッケージ」をインベントリ整備の研究の調査を行う。

外部との連携

福島県新地町、東北大学大学院工学研究科、名古屋大学大学院環境学研究科、福島県南相馬市、環境省環境計画課、内閣官房地方創生推進室

関連する研究課題

課題代表者

藤田 壮

  • 社会環境システム研究センター
  • センター長
  • 博士(工学)
  • 土木工学,システム工学,建築学
portrait

担当者