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ため池における湿生植物及び水生植物の種多様性を規定する要因(平成 23年度)
Crucial factors determining hygrophyte and macrophyte species diverstiy in agricultural ponds

予算区分
AQ センター調査研究
研究課題コード
1112AQ010
開始/終了年度
2011~2011年
キーワード(日本語)
ため池,湿生植物,水生植物,生物多様性,保全
キーワード(英語)
agricultural pond, hygrophyte, macrophyte, biodiversity, conservation

研究概要

ため池は、農業用水の水源確保のために造成された人工的な止水域である。このようなため池では、他の陸水生態系と比較して種多様性及び固有性が高い生物相が維持されてきた。しかし近年、改修工事による池そのものの物理的消滅・改変をはじめ、周辺の土地利用の変化による水質の富栄養化や、池干し・カイボリの廃止による水位変動・物理的攪乱の減少など、ため池の環境は量・質の両面で劣化が進み、それに伴って、ため池が本来有していた生物多様性も急速に喪失してきている。
 陸水生態系において、湿生植物と水生植物の種多様性は、系全体の生物多様性を支える基盤である。今後、ため池が生物のハビタットとして持続的に機能するための管理体制を検討する上で、ため池における湿生植物及び水生植物の出現パターンについて理解しておくことは必須である。
そこで本研究では、ため池における湿生植物及び水生植物の種多様性を規定する要因について現地調査を行い、両者のパターンの違いを明らかにする。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:

全体計画

2012年度に、以下の調査を実施する。

1.湿生・水生植物調査
 調査対象の50個程度のため池において、湿生・水生植物が最も豊富に出現していると予想される夏から秋にかけて(7、9、10月)植生調査を実施する。植生調査の方法は、湿生・水生植物共に、池内に出現する全ての植物の種名を記録するものとする。

2.池底の干出面積調査
 湿生・水生植物の発芽・生長期にあたる5−10月のうち、5、7、9、10月の各月1回(計4回)、各池の干出面積を測定する。具体的には、高精度ハンディGPS(修正後水平誤差50?以内)を用いて干出部分の外郭の座標値を測定し、GIS上で面積を算出する。9、10月の調査は、上記の植物調査と同時に実施する。

3.水質調査
 本研究では、各池において7月と9月の2回、植物の出現に影響を与える可能性が高い以下の項目について測定する。調査は、上記の調査と合わせて実施する。

・現地で測定する項目
透明度、溶存酸素(DO)、pH、EC
・水を持ち帰って測定する項目
全窒素(TN)、全リン(TP)、クロロフィルa、溶存性無機体窒素(DIN)、溶存性無機体リン(DIP)、溶存性無機体炭素(DIC)

以上3つの調査のための出張期間は、5、7月はそれぞれ8日程度、9、10月はそれぞれ2週間程度を見込んでいる。

今年度の研究概要

2012年1月下旬から2月上旬までの2週間、調査対象とするため池の選定のため、現地を広域的に踏査・下見する。

関連する研究課題
  • 0 : 生物・生態系環境研究分野における研究課題

課題代表者

石田 真也