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日本の造礁性イシサンゴ類同定ガイド作成のための基礎研究(平成 23年度)
Preliminary study to make a identification guide of hermatypic corals in Japan

予算区分
NA 寄付
研究課題コード
1112NA002
開始/終了年度
2011~2012年
キーワード(日本語)
造礁サンゴ,同定
キーワード(英語)
hermatypic corals, identification

研究概要

造礁性イシサンゴ類(以下、サンゴ)の分類は、その分類基準となっている形質が少なく、形質となっている骨格形態の種内変異や生息環境への可塑的変化が大きいために、近縁とされている種間での違いが不明瞭なものが多い。よって、生時つまりその骨格表面が軟体部で覆われた状態では、属あるいは科間ですら、その違いを認識することが難しい分類群が存在する。従って、その同定をより正確に行うには、種内変異や可塑的変化の影響を受けない骨格形態を見極めるとともに、それらが反映された生時の特徴を明らかにする必要がある。本研究では、まず日本周辺で見られるサンゴの種同定の困難度を表す区分表を作成する。次に、その中で明確な同定基準を示せば容易に識別できる種については、その同定基準と生時・骨格写真を掲載した同定ガイドを作成する。そして、こうした汎用性・利便性の高い成果物を、将来的に日本のサンゴ・サンゴ礁の調査者や研究者に広く利用してもらうことで、現在混乱している日本のサンゴの種同定や分類の現状の改善に取り組むことが、本研究の目的である。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:

全体計画

造礁サンゴのフィールド図鑑の中で、日本で最も普及している西平・Veron (1995) の「日本の造礁サンゴ類」に掲載されている種の同定の困難度を、申請者らの同定経験と関連する研究者へのアンケート結果に基づいて、1)生時の特徴で同定できる、2)骨格形態を観察すれば同定できる、3)骨格形態を観察しても同定が難しい、の3ランクに分け、その区分表を作成する。次に、西平・Veron (1995)の掲載種の中で、ランク2に該当すると思われ、生時もしくは骨格のどちらか一方の写真しか掲載されていない種、他種と思われるものの生時写真が混在している種について、それらの種の原記載論文を収集する。次に、そこに記載されている骨格形態の特徴、掲載されているタイプ標本の骨格写真やスケッチなどから、種ごとの骨格形態の特徴を再確認し、それらの同定・分類基準を再整理する。ランク2に該当する種の中から選ばれた種群について、それらの群体の生時写真の撮影、撮影した群体の骨格と軟体部の採集を行う。調査地域は、日本で最も造礁サンゴの種多様性が高い、沖縄県八重山海域の石西礁湖周辺とする。特に、再整理した同定基準での区別がやや困難と判断された種群については、採取した軟体部を用いた分子系統解析を行い、その基準の再検討も行う

今年度の研究概要

研究代表者が所属する日本造礁サンゴ分類研究会の会員向けに、種の認識度と同定困難度に関するアンケート調査を行う。この結果をもとに、今回調査対象とする分類群を決定し、それらの記載論文や国内での分布情報などを収集する。また、沖縄県の石西礁湖周辺でスキューバダイビングによる該当種群の写真撮影、骨格標本、そして分子系統解析用の軟体部試料を採集する。以上の調査結果をもとに、対象とした分類群の同定ガイドの作成に取り組む。

関連する研究課題

課題代表者

杉原 薫